さて以前にあんこの原材料として 赤あん、粒あんには「アズキ種」が主に使われると書きましたが、今回は「白あん」によく使われるマメ科の植物について書いてみたいと思います。
前回と同じように下の図をもとにして説明していきます。
白あんの原料として使われるマメですが、私は三つに分類できると思っています。
インゲンマメ属インゲンマメ種、インゲンマメ属ライマメ種、ササゲマメ属アズキ種 です。以下はそれぞれについて簡単に説明したいと思います。
インゲンマメ種
この中でも白色系の 手亡 白金時豆 大福豆 グレートノーザン が現在白あんの原材料としてよく流通しています。
手亡
さて上記の中で和菓子用の白あんの原材料の代表と言っても過言ではないのが
手亡です。
その用途は幅広くみなさんが和菓子と言えば真っ先に思い浮かべる上生菓子の練り切りから大判焼き(回転焼き)の白(粒)あんまで多岐に渡ります。
また、永年手亡といえば北海道産と相場が決まっていましたが、ここ数年は外国産、特に北米産のものがかなり流通してきました。
大福豆
大福豆は白あんの原材料の中で「高級菜豆」と呼ばれるものの一つです。(「高級菜豆」については後述します。)
白金時豆
白金時豆は日本を代表する老舗㈱虎屋さんが羊羹に使っていることで有名です。
また我々大阪(特に泉州)の人間にとっては㈱青木松風庵さんの「月化粧」の材料として知られています。
実は私は白金時豆は高価なことからてっきり「高級菜豆」の一つだと思っていたのですが、後述する
草型の分類上はわい性に属するため「高級菜豆」に含まれません。
高級菜豆と品種の草型によるタイプ分類
インゲンマメ種には、種皮の色や模様、豆の形や大きさが異なる様々な品種がありますが、品種による形態的な違いが大きく、草型により次のようなタイプに分類されます。
叢性
つるを出さず、主茎頂部に花房がつき、分枝して横に広がります。草丈は55~65cm程度で、栽培時に支柱は不要です。手亡(てぼう)類のうち、近年栽培されている「姫手亡」、「雪手亡」、「絹てぼう」がこれに該当します
半つる性
つる性とわい性の中間タイプです。つる性と同じように、つるを出して主茎頂部に花房を付けませんが、茎長は100~120cm程度で、支柱を立てずに栽培します。このタイプは、手亡類のうち「大手亡」、「銀手亡」や、うずら類のうち「福粒中長(ふくりゅうちゅうなが)」などかつて多く栽培されていた品種にみられます。
つる性
つるを出し、主茎頂部に花房を付けず、周囲のものに巻きつきながら伸長を続け、草丈は2.5~3mにも及びます。このため、ネマガリタケ等から作った「手竹(てだけ)」と呼ばれる支柱を立てて栽培します。虎豆類や大福(おおふく)類がこれに該当します。なお、いんげんまめとは種が異なる「べにばないんげん」に属している花豆類もほぼ同様な方法で栽培され、用途にも大差がないことから、上記のようなつる性のいんげんまめと併せて
「高級菜豆」と総称されています(注:「菜豆(さいとう)」はいんげんまめの別称。)。
わい性
つるを出さず、主茎頂部に花房がつき、草丈は35~40cm程度で、栽培時に支柱は不要です。金時類全般やうずら類のうち、近年多く栽培されている「福うずら」がこれに該当します。
北海道のいんげんまめ(菜豆)の優良品種指定状況
(公財)日本豆類協会HPより
グレートノーザン
カタカナ表記であることから推測される通り日本ではなく、主に北米大陸で栽培されています。
手亡と比較的味が近いことから海外で手亡が栽培される以前は、その代用品として流通していました。
次に白あんの原材料として最も流通量の多いライマメ種について説明します。
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