独立行政法人 農畜産業振興機構 によると甘味料は次のように分類されます。

現在使用されている甘味料は、大別すると糖質系甘味料と非糖質系甘味料の2種類に分けられる。
砂糖は、でん粉由来の糖、その他の糖、糖アルコールとともに糖質系甘味料に分けられる。

しかしながら、私たちに馴染みがあるかという点から判断すると甘味料は、「砂糖」と「砂糖以外の甘味料」と分類もできると思います。

実際、「砂糖以外の甘味料」は砂糖の代替甘味料として開発、発展してきました。

以後は「 砂糖以外の甘味料」について書いていきたいと思いますが、その前に、「砂糖」について極々簡単に説明します。(以下独立行政法人 農畜産業振興機構より)

face01 砂糖

主な成分は糖(おもにスクロース、ショ糖ともいう。)である。
スクロースは、ぶどう糖(グルコース)果糖(フルクトース)が結合した糖であり、二糖類の一種である。


砂糖の種類については別の機会に書いてみたいと思います。

face01 砂糖以外の甘味料

  砂糖以外の甘味料は、第二次世界大戦中や終戦直後の砂糖不足の時代には、単に砂糖の代替甘味料という位置付けであった。

しかし、その後の食生活の変化などにより、最近ではその使用目的が、低カロリー低う蝕性(虫歯になりにくい性質)、 腸内環境の改善 などへと多様化してきている

face01 砂糖以外の甘味料の機能

① 低カロリー

  近年の食生活の変化などによる肥満や生活習慣病の増加により、消費者の低カロリー志向が高まっていることを背景に、低カロリーの甘味料が菓子や飲料などさまざまな食品に使用されている。

 オリゴ糖、糖アルコールは 体内で消化されにくく、結果として摂り込まれるエネルギーが少なくなる。

非糖質系甘味料砂糖に比べて非常に高い(数百倍)甘味度を持ち、使用量が少ないため結果的に低カロリーの機能を持つことになるものがある。

逆に  体内で消化されにくいものの場合には、多量に摂取すると緩下作用があり、お腹が緩くなる場合がある。

これは、糖質が胃や小腸で消化されずに大腸に到達し、乳糖不耐症の場合と同様に大腸内の浸透圧が高くなるためと考えられている。

② 低う蝕性

  口腔内細菌は、砂糖を消化して、歯垢の原因となる物質や歯のエナメル質を溶かす酸を作るため、砂糖は虫歯の原因の一つになるとされている。

これに対し、オリゴ糖糖アルコール非糖質系甘味料には、口腔内細菌によって利用されない、あるいは、されにくい性質を持つものが多い。

「虫歯になりにくい」機能を挙げたチューインガムやキャンディなどに使用されたり、歯磨き剤に使用されたりしている。

③ 腸内環境の改善

  人間の腸内には、健康に有効な役割を果たす「善玉菌」(乳酸菌、ビフィズス菌など)と有害物質を作って下痢や便秘などを引き起こす「悪玉菌」が存在する。

一方、オリゴ糖は善玉菌であるビフィズス菌の増殖を促進して、腸内の細菌バランスの改善を図る特性を持つ。




icon06 以上から判断すると「砂糖以外の甘味料」が「砂糖」に完全に取って代わってもよさそうに思うのですが、現実には様々な理由により、そうはなっていません。

この理由を明らかにすれば、「砂糖以外の甘味料」が「砂糖」に対して劣っている点がはっきりしてきます。


次に今回は「砂糖以外の甘味料」のうち、「でん粉由来の糖」の種類について簡単な説明をしたいと思います。


face01 「でん粉由来の糖」

でん粉由来の糖の代表的なものとその特徴です。




注1) デキストリン

デキストリンは主にじゃがいもやとうもろこしのでん粉から作られています。

デキストリンはでん粉を化学的、あるいは酵素的な方法により低分子化したものの総称で、でん粉とマルトース(麦芽糖)の中間にあたります。

水溶性で容易に消化、吸収されます。(日清食品 H.P.より)

face01 「でん粉由来の糖」のエネルギー換算係数と甘味度





以上の表からエネルギー換算係数と甘味度という観点からは、水あめ が一番効果的と言えます。


face01 「でん粉由来の糖」の主な用途及び市場動向




icon06 次回は 「その他の糖」 に分類されている代表的な甘味料とその特徴について書いていきます。












Posted by 安儀製餡所 at 20:12 甘味料コメント(0)

甘味料の種類

2012年10月23日
今回は甘味料の種類について、前回よりも少し詳しく書いてみたいと思います。

独立行政法人 農畜産業振興機構 によれば、甘味料は次のように分類されます。(加糖調製品を除く)

face01 甘味料の種類

① 現在使用されている甘味料は、大別すると、糖質系甘味料非糖質系甘味料の2種類に分けられる。

② 糖質系甘味料は、砂糖でん粉由来の糖その他の糖糖アルコールに分けられる。

③ 非糖質系甘味料は、天然甘味料人工(合成)甘味料に分けられる。




次に糖質系甘味料の中で、一般的になじみが薄い砂糖以外の甘味料について簡単に説明します。

face01 でん粉由来の糖及びその他の糖

  でん粉由来の糖にはブドウ糖水あめ果糖異性化糖が含まれ、その他の糖には乳糖のほかにオリゴ糖と呼ばれるものが含まれる。

  ところで、糖質は、その大きさにより単糖類オリゴ糖類多糖類の3種類に分けられる。

① 単糖類は、最も小さい構成単位からなる糖質のことで、ブドウ糖果糖がこの代表である。

② 多糖類は、この単糖類が数十から数千個つながったもので、身近なものには でん粉や寒天、食物繊維などがある。

③ オリゴ糖類は、単糖類が2から20個程度つながったものであり、二糖類である砂糖麦芽糖(マルトース)もオリゴ糖類に含まれる。

しかし、多くのオリゴ糖は消化されにくい性質をもっており、「砂糖とは異なる特性を持った糖」という意味で、これらのみを総称してオリゴ糖と呼ぶことが多い。

多くのオリゴ糖が、低甘味、低カロリー、胃や小腸で消化されずに大腸にまで達しビフィズス菌の栄養源になる、虫歯の原因になりにくいという共通した性質を持つ。

face01 糖質の大きさによる分類




face01 糖アルコール

  糖質に水素を添加(還元)し、化学的に安定させたものである。

天然にも種々の糖アルコールが存在するが、一般的には工業的に酵素反応などによって生産されており、ソルビトールマンニトールマルチトール還元水飴などがある。


  非褐変(かっぺん)性(タンパク質やアミノ酸と加熱しても変色しない)などの性質を持つことから、加工食品に使われている。

また、消化・吸収されにくいため、低カロリー甘味料としても使用される。

多量に摂取した場合には、緩下作用(お腹が緩くなる作用)があるものもある。


face01 天然甘味料


  植物の葉や果実などに含まれている甘味成分を抽出した甘味料である。ステビアのほか甘草(グリチルリチン)、羅漢果などがある。

face01 人工(合成)甘味料

  化学合成により作られる高甘味度甘味料で、低カロリー甘味料として使用される。

食品衛生法に基づく指定添加物である。アスパルテームスクラロースアセスルファムKサッカリンサッカリンナトリウムがある。


次回は個々の甘味料についてふれてみたいと思います。





Posted by 安儀製餡所 at 20:48 甘味料コメント(0)

甘味について

2012年10月22日
今回は、あんことは切っても切れない関係にある、甘味について少し考えてみたいと思います。

face01 味を感じるメカニズム

 ヒトは5つの味を感じる。「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うま味」だ。

これらの味を感じるメカニズムが,近年の研究で明らかになった。

舌や口に点在する 味蕾(みらい) にいくつかの味覚細胞があり,各味覚細胞はその表面にあるセンサー(受容体)を使っていずれかの味を専門に感知している。

甘味細胞にある甘味受容体は甘味を,うま味細胞にあるうま味受容体はうま味を感じるといった具合だ。

甘味受容体が砂糖分子と結合すると,味蕾は脳に甘味シグナルを送る。

砂糖分子が多いと,甘味受容体と砂糖分子の結合数が増え,脳に送られる甘味シグナルは強くなる。(以上日経サイエンス  2008年11月号より)


face01 味蕾(Taste buds)



味蕾とは実際に味を感じる舌の表面近くにある味覚の受容器です。

味蕾は直径約50マイクロメートルで、舌の表面に対して味孔という孔が開いています。

この穴から味の化学分子が入り込みます。

味蕾の中には基底細胞、支持細胞および味覚細胞という異なった種類の細胞があります。

この中で味を感じることができるのは味覚細胞です。

さらに拡大するとこの味覚細胞の細胞膜表面に味分子の受容体が発現しています。





味をよく感じるために基底細胞の分化によって絶えず新しい味覚細胞が作られており、味覚細胞の寿命はほ乳類で約10日です。

舌以外でも咽頭、喉頭等でも味覚を感じることができ、口腔、咽喉頭等、全体で10000個以上の味蕾があります。

一つの味蕾には約50本の感覚繊維が分布しています。

1つの神経線維は平均5個の味蕾に分布しています。

低濃度の化学(味)刺激ではそれぞれの味蕾はそれぞれの味に敏感ですが、高濃度刺激では2つ以上の味に反応します。


face01 あんこの甘味

あんこに甘味を加えるために、よく使われる甘味料 (食材、食品添加物)は

① 砂糖

② 水あめ
       農畜産業振興機構による分類では、ブドウ糖、麦芽糖、果糖とともに「でん粉由来の糖」に分類される。

③ 糖アルコール

  糖質に水素を添加(還元)し、化学的に安定させたものである。天然にも種々の糖アルコールが存在するが、一般的には工業的に酵素反応などによって生産されており、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、還元水飴などがある。

  非褐変性(タンパク質やアミノ酸と加熱しても変色しない)などの性質を持つことから、加工食品に使われている。

また、消化・吸収されにくいため、低カロリー甘味料としても使用される。

④ 加糖調製品

 砂糖に他の食品素材を加えた食品加工用原料のことを指し、ソルビトール調製品 (砂糖とソルビトールを混合したもので、ショ糖含有率が全重量の50%以上85%未満のもの) が広く流通しているが、最近はマルチトール調製品も増加傾向にある。

⑤ トレハロース

農畜産業振興機構による分類では「糖質系甘味料」の「その他の糖」に分類される。

高い保水力を持ち、食品や化粧品に使われる。

抽出する方法が難しく高価なものだったが、近年でん粉からの安価な大量生産技術が岡山県の企業、林原によって確立され、さまざまな用途に用いられている。

⑥ 人工甘味料

が挙げられます。


一般的には、①、②が食材に、③~⑥が食品添加物に分類されます。

次に、今回は最近特に使われることの多くなってきている、人工甘味料について簡単に触れてみたいと思います。

face01 人工甘味料はなぜ甘いか?


たとえば、 カロリー(糖分)ゼロを謳ったコーラには、スクラロースやアスパラテームという「人工甘味料」が使用されています。

こうした人工甘味料は、 基本的にカロリーがないか、 極めて少ないのですが、 それでいて 自然な砂糖の甘さとはちょっと違いますが、 それでも、それに似た 「甘味」を感じさせます。


素朴な疑問として、 何故カロリーもない化学物質が、甘味を持っているのでしょうか?

人間が甘味を感じるのは、 前述したように舌の味蕾(みらい)にある、甘味受容体に砂糖などが結合するためです。

 こうした甘味受容体の構造と機能を逆手にとって,私たちが口にしたときに感じる味を変えてしまおうという研究が進んでいます。

つまり、たとえカロリーがなくとも、 甘味受容体に結合する物質は 人間には「甘い」と感じられるのです。

従って、 甘味受容体に結合する化学物質が、 人工甘味料というわけです。



次回は、今回でも少しふれましたが甘味料の種類について簡単に説明したいと思います。


 


























Posted by 安儀製餡所 at 16:57 甘味料コメント(1)
2012年10月 十勝の小豆収穫風景です。

face01 今年は久しぶりの豊作です。





     
















face01 十勝の風景で緑肥用ひまわりの写真を掲載します。




 
















さて、一時ひまわりが放射能除染に有効であるという風説が流れましたが、全くのデマでした。

この話が流れた時は

原発事故⇒チェレノブイリ⇒ウクライナ⇒ひまわり

のたちの悪い冗談かと思いました。



私の場合どうしても ウクライナ⇒ひまわり となると、あの懐かしい映画と曲を思い出してしまいます。



Posted by 安儀製餡所 at 20:23 photo galleryコメント(0)

奈良公園の秋

2012年10月02日
 台風一過ですっかり秋が深まった感がありますが、この時期どこのJAZZ  CLUB でも必ず演奏されるのが
『オータム イン ニュ―・ヨ―ク』 です。

この曲は「セントラル・パーク」の秋を綴った名曲ですが、今回は「奈良公園の秋」の写真を友人が送ってくれましたので掲載します。

  




  

 


最後に天才 チャーリー・パーカーが演奏する『オータム イン ニュ―・ヨ―ク』を 

 



Posted by 安儀製餡所 at 18:23 photo galleryコメント(0)

二百十日

2012年10月01日
今年のお月見 中秋の名月は残念ながら台風17号の影響でそれどころではありませんでした。

今年は10月27日の十三夜の月に期待しましょう。片見月となりますが仕方ありません。

face01 渋川春海

さて、台風襲来の特異日と言えば昔から 二百十日、二百二十日が有名ですが、この日は暦学者渋川春海が貞享暦を編んだ際、初めて採用したと言われています。

これについては次のようなエピソードが語られてきました。

渋川は釣り好きで、隠居していたある日、江戸品川の海に舟を出そうとした時、一老漁夫が海上の一点の雲を指し、「50年来の体験によると210日目の今日は大暴風雨になる可能性が高いから舟を出すのはやめた方が良い」と教えた。これがはたしてその通りになり、その後も注意していると確かに210日頃は天気が荒れる事がわかり、貞享暦に書き入れたという。


実際は江戸の都市伝説のような話で、
渋川春海は1639年生まれであるが、1634年の文書にすでに210日の記述がある。
また伊勢暦には1656年から記載されているので、春海はまだ青年であり、隠居後の話という言い伝えと矛盾する。


したがって、渋川春海が採用したという話はいま一つ信ぴょう性に欠けるということです。

face01 二百十日(にひゃくとおか) 

夏目漱石に『二百十日』という作品もありますが、
二百十日は、雑節のひとつで、立春を起算日(第1日目)として210日目、つまり、立春の209日後の日である。

21世紀初頭の現在は平年なら9月1日、閏年なら8月31日である。数十年以上のスパンでは、立春の変動により9月2日の年もある。

季節の移り変わりの目安となる「季節点」のひとつ。台風が来て天気が荒れやすいと言われている。

八朔(旧暦8月1日)や二百二十日とともに、農家の三大厄日とされている。

太陽暦(新暦)では9月1日前後で一定するが、太陰太陽暦(旧暦)では閏月が入るなどして、7月17日から8月11日前後まで、「二百十日」がどの日に該当するのかが一定ではなかった。

そのために必要になった暦注であると言われている。台風襲来の特異日とされ、奈良県大和神社で二百十日前3日に行う「風鎮祭」、富山県富山市の「おわら風の盆」など、各地で風鎮めの祭が催されてきた。


face01 二百十日の意味

この日の頃に台風が多いという事実はなく、むしろ8月下旬と9月中旬の台風襲来の狭間になり、210日頃の台風はむしろ少ない。

むしろ、この頃が稲の出穂期に当たり、強風が吹くと減収となる恐れがあるために注意を喚起する意味で言われ始めたのであろうと言われている。

face01 八朔(はっさく) 

八朔とは八月朔日の略で、旧暦の8月1日のことです。

この頃、早稲の穂が実るので、農民の間で初穂を恩人などに贈る風習が古くからあった。このことから、田の実の節句ともいう。この「たのみ」を「頼み」にかけ、武家や公家の間でも、日頃お世話になっている(頼み合っている)人に、その恩を感謝する意味で贈り物をするようになった。


face01 防災の日

1923年、偶然この年の二百十日にあたる9月1日に関東大震災が発生したため、在来の二百十日と併せて災害についての認識と心構えの準備を喚起する日として1960年に制定されました。
































Posted by 安儀製餡所 at 19:10 あんこの楽しみ方コメント(0)

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