小豆(あずき)の種類
あんこの原材料として比較的よく使われている豆は、下記ように分類されます。
このなかで、とくによく使われるのが、
赤こし餡、つぶ餡・・・・・・小豆種
白こし餡・・・・・・・・・・・・・インゲン豆種、ライ豆種
です。
今回はやはり あんこの原材料と言えば「小豆(種)」でありますので、その種類や名称について、説明していきたいと思います。
小豆の名の由来は、江戸時代の学者、貝原益軒の「大和本草(やまとほんぞう)」によれば、「あ」は「赤色」、「つき」及び「ずき」は「溶ける」の意味があり、赤くて煮ると皮が破れて豆が崩れやすいことから「あずき」になったとされています
前回の「特色のある原材料」でも少し説明しましたが、小豆には様々な切り口から名前がつけられています。
たとえば、国産小豆、北海小豆、十勝エリモ小豆、特別栽培小豆、雅、大納言・・・・・
これらは何を表しているのか、違いはなにかをあくまでも簡単に説明したいと思います。
(以下「豆類協会」のホームページを参考にしていきます。もっと詳しく知りたければ、そのサイトを読んでください。)
品種による分類
現在、餡の材料として使われている小豆の品種は大きく「大納言」と、「大納言以外の普通品種」に大別できます。
大納言
小豆の中でも、特に
大粒で煮ても皮が破れにくい特徴を持つ特定の品種群で、流通・加工上、普通の小豆と区別して扱われます。
この「煮ても皮が破れにくい」という特徴がいわゆる「腹切れ」が生じにくいことから、切腹の習慣がない公卿の官位である「大納言」とという名前の由来になったという説もあります。

大納言
小豆(大納言以外の普通品種)
一般的に小豆と言う場合は、大納言以外の普通品種を指します。

小豆(普通品種)
なお、煮崩れしにくい特性を持たない品種は、いくら大粒であっても「大納言」とは呼ばれず、通常「大粒小豆」とよばれます。(これは、品種による分類ではなく選別基準による分類になります。)
小豆の普通品種には、「エリモ小豆」、「きたのおとめ」、「しゅまり」「きたろまん」等があり、作付面積は、「エリモ小豆」が約5割を占めています。
ちなみに、某コンビニチェーンで大々的に宣伝された「ゆめむらさき」というのも、マイナーな普通品種の一つです。
さて、「品種による表示」で気をつけなければならないには次のような場合です。
これは、黒豆に多いのですが、たとえば、中国で丹波黒豆(これは品種名です)を栽培し、それを日本に輸入し加工して販売しても、、現行の「
原材料の原産地表示」のルールに則れば表示上は「丹波黒豆」で通るわけです。
まあ、極端な話中国で「エリモ小豆」を栽培しそれを使って加糖餡にしてもエリモ小豆使用で通ります。
白小豆
小豆の種皮色は通常は赤(あずき色)ですが、他に黒、白、緑、茶、灰白、斑紋、白地赤斑などあります。
しかし、国内生産があるのは白小豆(しろあずき)と呼ばれる白系統で、岡山県の「備中白小豆」、北海道の「きたほたる」などの品種がごく僅か生産されています。

白小豆
「備中白小豆」、という名称は特定の原産地と品種が組み合わさって、いわば特定の銘柄になっています。
特定の生産地が名称に着いた小豆
一番大きい分類は「国産小豆」と「外国産小豆」となります。しかしながら何度も言いますが、現行のルールでわざわざ外国産小豆とか中国産小豆と表示する必要はありません。
したがって現在は
「十勝小豆」のように国産でその生産地のブランド性を強調したい時に使います。
特定の栽培方法が名称に着いた小豆
特別栽培(特栽)小豆, 有機栽培小豆
ここで注意しなければならないのは、有機栽培小豆です。
以前「
特別栽培小豆}の記事で説明しましたが、現在日本では「有機栽培として認定されている小豆は皆無である」と言っても過言ではありません。(ごく微量ではありますが、生産されているという情報もありますが)
したがって、現在日本で流通している
「有機栽培小豆を使った加糖餡」というのは、有機栽培の認定基準が日本と比べてはるかに緩い海外で栽培された小豆を原材料を使っています。
ただし、現行の「
原材料の原産地表示」のルールに則れば、残念ながら違反ではありません。
加糖餡はルール上原材料の原産地表示を示す義務はありません。
小豆の選別基準が名称に着いた小豆
二等小豆 大粒小豆(1.9分以上) 二挌小豆 等外小豆 三挌小豆等
特定の銘柄、ブランドが名称に着いた小豆
大別すると次の二つになります。

農協、産地問屋のオリジナルブランド
ホクレンの
雅(1.65分(直径約5㎜)に選別されたエリモ小豆) クリーン100(無化学肥料栽培) クリーン80 (化学肥料の使用量が慣行農法の20%)などがその代表です。

生産地と品種の組み合わさったもの
丹波大納言 備中白小豆 十勝エリモ小豆 などがその代表です。