あんこのなかで、つぶあんとこしあんではどちらが甘く感じるか? ということを以前TVで放送していたようです。(残念ながら私は観ていません)

興味のある方はこちらから

同じ糖度のつぶあんとこしあんを食べ比べてもらいどちらが甘く感じるかを集計するというものです。

あんこの2大巨頭!「つぶあん」と「こしあん」。2つの原料を同量用意。砂糖の量も同じにし、甘さの基準となる糖度が同じになるよう調整します。あんこを作って30年以上の職人さんが糖度をチェック。

こうして、ほぼ同じ糖度のあんこが完成。ということは、この2つの甘さは同じはず。しかしショッピングモール内にあるフードコートで、お客さんに食べ比べてもらうと…その結果「粒あん」の方が甘いと答える人が続出!20人中15人が粒あんの方が甘いと感じたんです。

同じ糖度なのになぜ粒あんを甘いと感じたんでしょうか?

 食品の甘みに詳しい先生によると「口の中でよく噛んだのではないか」とのこと。そこで、それぞれのあんこの噛んだ回数を機械で測定。5人で計測すると全員「粒あん」の方が噛む回数が多かったんです。

専門家によると、よく噛むことで、粒あんの中の砂糖が唾液にたくさん溶けて甘く感じたとのこと。甘さは、舌にある味蕾で感じます。

しかし、舌には凹凸があり、甘さを感じる味蕾は奥深くにあるため、固形のものでは甘さを感じにくいんです。こしあんの場合、あまり噛まなくても、喉を通るため、比較的甘さを感じにくくなるんだそうです。

一方、粒あんは小豆の皮などがあり、飲み込む前に、こしあんよりたくさん噛み、唾液が多く分泌されるので、砂糖が溶けた唾液が味蕾のある奥
の方まで届きます。だから同じ糖度でも、甘く感じやすいんです。

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Posted by 安儀製餡所 at 15:41 甘味料コメント(0)

非糖質系甘味料

2012年11月23日
さて、たくさんあった砂糖以外の甘味料も今回で最後となります。

非糖質系甘味料は大きく、天然甘味料 と人工(合成)甘味料に分類されます。

独立行政法人 農畜産業振興機構 より


face01 非糖質系甘味料の特徴

icon06 天然甘味料



icon06 人工(合成)甘味料



face01 非糖質系甘味料のエネルギー換算係数と甘味度

非糖質系甘味料の特徴は砂糖と比べて低カロリーであるとともに甘味度が極端に高いということです。



face01 非糖質系甘味料の用途および市場動向

icon06 天然甘味料



icon06 人工(合成)甘味料





face01 非糖質系甘味料の問題点

icon06 水分活性

仮にステビアを使って 並あん を作るとします。

配合は、前回説明したように通常 生あん 100kg(生あん の含水率 60%で水 60kg、でん粉 40kg)
、砂糖 60kg で、 とすると 出来高 155kg となり、Brix糖度計で51~53度であがります。

この場合濃度は

   {砂糖(60kg) + でん粉(40kg)} ÷ 加糖あん出来高(155kg) × 100 = 65%


これを砂糖を 100% ステビアで置き換えれば、甘味度 は砂糖の300倍ですから 200g で十分です。 

実際の濃度は {ステビア(200g) + でん粉(40kg)} ÷ 出来高95kg × 100 = 42% となります。

つまり、水分活性が極端に高くなってしまい、商品として日持ちがしなくなる、言い換えると 傷みやすくなる ということです。

また、これを防ぐために保存料(食品添加物)を使うということになります。

icon06 極端に高い甘味度

後、もう一つは、甘味度が砂糖と比べて極端に高いことです。だいたい砂糖の300倍の甘さ など私には想像できません。

これは味蕾(みらい)にある甘味受容体を300倍刺激するということです。

最近は砂糖を白眼視する記事をよく目にしますし、なかには麻薬のように扱っているものもあります。

この中には天然甘味料の低カロリーをもって砂糖の代替として推奨しているものが多いのですが、はたしてどうなのでしょうか?



 

Posted by 安儀製餡所 at 16:32 甘味料コメント(0)

加糖調製品

2012年11月12日
face01 加糖調製品

砂糖に他の食品素材を加えた食品加工用原料のことを指し、主に製菓、製パン、飲料メーカーなどで業務用原料として使用されています。

素材や砂糖の含有量によって様々な種類のものがあり、その多くは海外から輸入されています。

主なものはソルビトール調製品加糖あんココア調製品などです。

この中でもあん練りに使われるのが ソルビトール調製品 です。


face01 ソルビトール調製品

ソルビトール調製品とは、砂糖とソルビトールを混合したもので、ショ糖含有率が全重量の50%以上85%未満のもので、
砂糖に変わる割安な代替材料として、近年需要を伸ばしています。

face01 石油 と 砂糖、ソルビトール調製品 の関係

2005年は石油価格の値上げが著しく、その価格のしわ寄せとして原料粗糖の国際価格が高騰し、 砂糖の値上げへとつながっていると見られています。

ではなぜ、石油と砂糖の価格が関連しているのか?

高騰する石油の代替燃料として、さまざまなエネルギーへ関心が集まっているが、その中の一つとして「エタノール」があります。

「エタノールは砂糖を精製する段階で生産される」というのが、ポイント。

つまり、代替エネルギーとして今後需要が伸びるであろうと予測した投資家が、エタノールを買いに動く。
↓ 

すると、エタノールは砂糖を精製する過程で発生するものなので、砂糖の価格も上がってくる。
 
↓ 

砂糖の価格が上がれば、その砂糖を使っている企業(お菓子メーカ)などは、その値上がりした価格を、どこかで吸収しなければならない。

↓ 
しかし、菓子は価格競争が激しく、小売価格への転換が困難。商品に価格を転嫁させてしまえば、売上に大きく関わってくる。
 
↓ 

というわけで、割安な代替材料であるソルビトール調製品への関心が高まっています。

↓ 

コンビニなどで1個百円前後で売られている薄利多売を狙っている商品からソルビトール調製品へのシフトが進んでいくというわけです。

face01 ソルビトール調製品の現状

ソルビトール調製品は、主に中国、 韓国、 タイなどから輸入されています。

なお、国内砂糖と輸入調整品の価格差は、約1.6倍ほどです。

ただし、ソルビトール調製品の価格も砂糖の価格の上昇と連動して値上がりしています。

輸入量も、2004年10月から2005年9月の間に33万トンと、14年まえの4.2倍強に達しました。

値段からしても、砂糖の割高感はぬぐえず、今後はよりいっそう調整品が普及するかもしれない。

「最近の子供は和菓子で本当の砂糖の味を知らない、今の饅頭は調整糖(加糖調製品のことです)ばっかりや!」と嘆かれるのは、このような背景があります。   続きを読む

Posted by 安儀製餡所 at 23:14 甘味料コメント(0)

糖度

2012年11月11日
face01 糖度

今回は糖度について説明したいと思います。

現在 あんこの品質、特に甘さを表す時に、一般的に糖度何%とかBrix何%と表現されます。

弊社でも あん練りの際に屈折糖度計を使ってBrixを測りそれを糖度としています。

ただし、これは甘さを測っているのではなく、どちらかと言えば 加糖あん の練り具合、硬さを確認しているのです。

face01 甘さを表す指標

現在、甘さを表す指標として比較的良く使われるのが、甘味度、糖度、Brixです。


この三者の違いを簡単に説明すると次のようになります。




このうち、甘味度については以前に少しふれましたので、今回は糖度、Brixについて書いてみます。

その前に、この両者と密接な関係にある糖度計について説明をします。


face01 糖度計

① 糖度計の原理

  糖度計は、屈折率を測定するものです。コップに水を入れ、その中にストローを入れると、水に浸っている部分のストローが曲がって見えます。

次に、水の砂糖をたくさん加えて濃い砂糖水にすると、ストローは更に曲がって見えます。これが光の屈折という現象です。


  糖度計は、この原理(液体の濃度が高くなると、その屈折率も上昇する)を応用した測定器です。糖度計の代表例としては、昔からある手持屈折計とポケット糖度計とが有ります。どちらもBrix目盛を搭載しています。

② Brix目盛

  Brix目盛とは、ショ糖のw/w%の事です。濃度と屈折率に相関があることから糖度計の目盛として使用されています。

ショ糖の濃度と屈折率との相関はBrix博士が発見したもので、サトウキビなどの砂糖の取引のための品質規格として国際砂糖分析統一委員会(ICUMSA)によって規格化されています。

face01 糖度 = 甘さ とは限らない

① 果物の糖度

糖度が高くとも糖分が多いとは限りません。

一般の果物では屈折率を変化させる要素のほとんどが糖であることから糖度=糖分という「常識」が生まれました。

しかし、温州みかんを屈折糖度計で測った場合、糖分が10 %であってもクエン酸が1 %あれば糖度は10.9度となります。

つまり果物でも屈折糖度計で測ったBrix糖度のすべてが糖分ではないのです。

この場合、実際の糖分はBrix糖度より低いことになります。

② 糖度と甘味度

 また、糖度が高いほうが甘いとも限りません。

糖分が同じならば屈折糖度計で測ったBrix糖度は酸が強いほうが高くなってしまいますが、味覚では酸が少ないほうが甘く感じるからです。

最終的には味覚を重視しなければ意味がありません。

face01 Brix = 糖度 ではなく 実際は Brix = 濃度 である

 ラーメンスープ、シチュー、焼肉のたれなどは糖分の他に塩分、酸、エキスなどが溶け込んでいます。

  この場合はこれらを合算したもの(可溶性固形分)が製品100g中に何g入っているかを百分率で表します。

   これら合算したものを%(百分率)で表した値を濃度といいます。

 
この場合、屈折糖度計で計った値はこの濃度を指し、Brix(ブリックス)=濃度となります。

face01 加糖あん の 糖度



hosi 目的

一般的に加糖あんのBrix糖度を測るのはは次の目的のためです。

① 加糖あん の甘さ を表示する。

② 加糖あん の水分活性値を推測する目安となる。

③ 加糖あんとあんを包んでいる和菓子の生地の糖度を合わせることにより、浸透圧による水分の移行を防ぐ。

④ あん練りの時の加熱の具合を決める。

hosi Brix糖度の実態

さて、生あん 100kg に対し 砂糖 60kg を加えて いわゆる 並あん を作るとします。

結果、次のような出来上がりになりました。

Ⅰ 出来上がりは、屈折糖度計で Brix 51~53度

Ⅱ 出来高は あん練り時の 加水 と加熱による水分の蒸発により、155kg
となった。

さて、この場合 三種類の糖度が存在します。

① 実際の糖度

   砂糖(60kg) ÷ 加糖あん出来高(155kg) × 100 = 39%

② 理論上のBrix(濃度)

   生あん の含水率 を 60% とすると 生あん100kgは 水 60kg、でん粉 40kg
となります。

   したがって、屈折糖度計を使えば、理論上Brix(濃度)は

   {砂糖(60kg) + でん粉(40kg)} ÷ 加糖あん出来高(155kg) × 100 = 65%
 になる筈です。

③ 屈折糖度計 で実際に測ったBrix(濃度)

  過去の経験より 上記の条件で製造すれば、51~53% になります。

hosi 結論

 ①と③が一致しないことは今までの説明で想像がつきますが、②と③が一致しないということは、 加糖あんに限って言えば、「屈折糖度計はその濃度を正確に測定する訳ではない。」といえます。

屈折糖度計はあくまでも、ショ糖水溶液の屈折率を基準としていますので、加糖あんでは正確に反映されないと推定できます。

もし和菓子の生地のBrix(濃度)が加糖あんと同様に本来の濃度を反映していないのであれば、目的③にも使えません。

hosi Brix(濃度)の意味

それではBrix(濃度)が全く役に立たないかと言うと、決してそうではありません。

あん練りは、昔は年季の入った職人さんが、最後に釜に杓子を入れ、杓子から流れ落ちるあんの具合を見て練り具合を判断したものです。

一方、現在はこの職人技の代わりにBrix(濃度)を使うわけです。

上記の例では、あん練りの加熱、撹拌作業において、屈折糖度計のBrix(濃度)を確認していき、51~53%になった時点で作業完了となります。

このようにして、品質の標準化を図るために屈折糖度計のBrix(濃度)を利用しています。


face01 最後に


最後にもう一つ付け加えれば、糖度は実際の甘さを全く反映していないということです。

今まで述べてきたように、砂糖の代わりに糖アルコールなどの食品添加物を使ったり、一部置き換えたりすれば糖度を高くして甘さを控えることも可能です。

ただし、そうすれば砂糖にはない糖アルコール独特の味(甘味)が出てきます。

先日、電車に乗っていて「最近の子供は和菓子で本当の砂糖の味を知らない、今の饅頭は調整糖(加糖調製品のことです)ばっかりや!」と大阪のおばちゃんが嘆いていたのを聞きました。

加糖調製品とは砂糖と糖アルコール(おもにソルビトール)を混ぜたものです。

これはなんだか現在の醸造アルコールを添加する日本酒に似ています。

現在のアルコール添加の目的は、酒の量を水増しするためではなく香味の調整 が第一の目的であるそうですが、私などは、醸造アルコールを添加されている吟醸酒よりも、やはり添加されていない純米酒の方が美味しく思います。 

Posted by 安儀製餡所 at 20:53 甘味料コメント(0)

糖アルコール

2012年11月05日
face01 「糖アルコール』に属する甘味料

糖質に水素添加(還元)し、化学的に安定させたものである。

天然にも種々の糖アルコールが存在するが、一般的には工業的に酵素反応などによって生産されており、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、還元水飴などがある。

これらは表示上は「食品添加物」になる。

  非褐変性(タンパク質やアミノ酸と加熱しても変色しない)などの性質を持つことから、加工食品に使われている。

また、消化・吸収されにくいため、低カロリー甘味料としても使用される。

ただし、多量に摂取した場合には、緩下作用(お腹が緩くなる作用)があるものもある。

和菓子では還元水飴などは、糖度を下げずに甘味度を下げる目的で使用される例が多く、また、ようかんなどで表面の白い結晶(シャリ)の析出を防ぐ働きもある。


face01 各甘味料の特徴






face01 「糖アルコール」のエネルギー換算係数と甘味度




face01 「糖アルコール」の用途および市場動向





独立行政法人 農畜産業振興機構 より


icon06 次回は「糖アルコール」と深い関係にある 「加糖調製品」 について書いてみたいと思います。

Posted by 安儀製餡所 at 18:43 甘味料コメント(0)
face01 「その他の糖」に属する甘味料

オリゴ糖類(単糖類が2から20個程度つながったもの)がほとんどですが、最近良く使われるトレハロースもこの仲間に分類されます。

オリゴ糖類の機能のほかに、砂糖と比べて甘味度(かんみど)が低いという特徴があります。

face01 甘味度

甘味度(かんみど)は甘味料の甘さの指標である。ショ糖の甘さを基準として比較されることで求められる。

測定方法

基本的に人の味覚を元に測定する。このため、定量的な値ではない

一定質量濃度のショ糖溶液と他の甘味料溶液を比較し、同等の甘さを感じる濃度から求める手法や、溶液の甘みを知覚できる閾値における濃度を比較することで求める手法などがある。

甘味度はこれらの測定方法の違いによっても値が変化する。(以上ウィキペディアより)

以上のように甘味度は今一つ信用性に欠けるのと、実際に感じる甘さがこの甘味度と合致しない、具体的に言えば食後の感覚が表わされていないというにが私の個人的な感想です。

face01 各甘味料の特徴



独立行政法人 農畜産業振興機構 より


注1) 乳糖

乳糖はブドウ糖とガラクト-スが結合したもので、牛乳や人乳問わず哺乳類の乳汁に含まれている。
善玉菌である乳酸菌の栄養となる成分です。 腸内ではラクターゼという酵素により分解、吸収されます。

注2) キシロース

 木糖ともいう.アルドペントースの一種.木材,わら,トウモロコシの芯などに多糖であるキシランとして存在。甘味度は砂糖(ショ糖)の約1/2。

face01 「その他の糖」のエネルギー換算係数と甘味度



砂糖と比べて全般的(オリゴ糖類)にエネルギー換算係数(カロリー)が低いが、その中で近年和菓子や加糖あんによく使われるトレハロースだけは砂糖よりエネルギー換算係数が高い。

face01 「その他の糖」の主な用途および市場動向





icon06 次回は 「糖アルコール」 に属する代表的な甘味料について書いてみたいと思います。

Posted by 安儀製餡所 at 21:01 甘味料コメント(0)
独立行政法人 農畜産業振興機構 によると甘味料は次のように分類されます。

現在使用されている甘味料は、大別すると糖質系甘味料と非糖質系甘味料の2種類に分けられる。
砂糖は、でん粉由来の糖、その他の糖、糖アルコールとともに糖質系甘味料に分けられる。

しかしながら、私たちに馴染みがあるかという点から判断すると甘味料は、「砂糖」と「砂糖以外の甘味料」と分類もできると思います。

実際、「砂糖以外の甘味料」は砂糖の代替甘味料として開発、発展してきました。

以後は「 砂糖以外の甘味料」について書いていきたいと思いますが、その前に、「砂糖」について極々簡単に説明します。(以下独立行政法人 農畜産業振興機構より)

face01 砂糖

主な成分は糖(おもにスクロース、ショ糖ともいう。)である。
スクロースは、ぶどう糖(グルコース)果糖(フルクトース)が結合した糖であり、二糖類の一種である。


砂糖の種類については別の機会に書いてみたいと思います。

face01 砂糖以外の甘味料

  砂糖以外の甘味料は、第二次世界大戦中や終戦直後の砂糖不足の時代には、単に砂糖の代替甘味料という位置付けであった。

しかし、その後の食生活の変化などにより、最近ではその使用目的が、低カロリー低う蝕性(虫歯になりにくい性質)、 腸内環境の改善 などへと多様化してきている

face01 砂糖以外の甘味料の機能

① 低カロリー

  近年の食生活の変化などによる肥満や生活習慣病の増加により、消費者の低カロリー志向が高まっていることを背景に、低カロリーの甘味料が菓子や飲料などさまざまな食品に使用されている。

 オリゴ糖、糖アルコールは 体内で消化されにくく、結果として摂り込まれるエネルギーが少なくなる。

非糖質系甘味料砂糖に比べて非常に高い(数百倍)甘味度を持ち、使用量が少ないため結果的に低カロリーの機能を持つことになるものがある。

逆に  体内で消化されにくいものの場合には、多量に摂取すると緩下作用があり、お腹が緩くなる場合がある。

これは、糖質が胃や小腸で消化されずに大腸に到達し、乳糖不耐症の場合と同様に大腸内の浸透圧が高くなるためと考えられている。

② 低う蝕性

  口腔内細菌は、砂糖を消化して、歯垢の原因となる物質や歯のエナメル質を溶かす酸を作るため、砂糖は虫歯の原因の一つになるとされている。

これに対し、オリゴ糖糖アルコール非糖質系甘味料には、口腔内細菌によって利用されない、あるいは、されにくい性質を持つものが多い。

「虫歯になりにくい」機能を挙げたチューインガムやキャンディなどに使用されたり、歯磨き剤に使用されたりしている。

③ 腸内環境の改善

  人間の腸内には、健康に有効な役割を果たす「善玉菌」(乳酸菌、ビフィズス菌など)と有害物質を作って下痢や便秘などを引き起こす「悪玉菌」が存在する。

一方、オリゴ糖は善玉菌であるビフィズス菌の増殖を促進して、腸内の細菌バランスの改善を図る特性を持つ。




icon06 以上から判断すると「砂糖以外の甘味料」が「砂糖」に完全に取って代わってもよさそうに思うのですが、現実には様々な理由により、そうはなっていません。

この理由を明らかにすれば、「砂糖以外の甘味料」が「砂糖」に対して劣っている点がはっきりしてきます。


次に今回は「砂糖以外の甘味料」のうち、「でん粉由来の糖」の種類について簡単な説明をしたいと思います。


face01 「でん粉由来の糖」

でん粉由来の糖の代表的なものとその特徴です。




注1) デキストリン

デキストリンは主にじゃがいもやとうもろこしのでん粉から作られています。

デキストリンはでん粉を化学的、あるいは酵素的な方法により低分子化したものの総称で、でん粉とマルトース(麦芽糖)の中間にあたります。

水溶性で容易に消化、吸収されます。(日清食品 H.P.より)

face01 「でん粉由来の糖」のエネルギー換算係数と甘味度





以上の表からエネルギー換算係数と甘味度という観点からは、水あめ が一番効果的と言えます。


face01 「でん粉由来の糖」の主な用途及び市場動向




icon06 次回は 「その他の糖」 に分類されている代表的な甘味料とその特徴について書いていきます。












Posted by 安儀製餡所 at 20:12 甘味料コメント(0)

甘味料の種類

2012年10月23日
今回は甘味料の種類について、前回よりも少し詳しく書いてみたいと思います。

独立行政法人 農畜産業振興機構 によれば、甘味料は次のように分類されます。(加糖調製品を除く)

face01 甘味料の種類

① 現在使用されている甘味料は、大別すると、糖質系甘味料非糖質系甘味料の2種類に分けられる。

② 糖質系甘味料は、砂糖でん粉由来の糖その他の糖糖アルコールに分けられる。

③ 非糖質系甘味料は、天然甘味料人工(合成)甘味料に分けられる。




次に糖質系甘味料の中で、一般的になじみが薄い砂糖以外の甘味料について簡単に説明します。

face01 でん粉由来の糖及びその他の糖

  でん粉由来の糖にはブドウ糖水あめ果糖異性化糖が含まれ、その他の糖には乳糖のほかにオリゴ糖と呼ばれるものが含まれる。

  ところで、糖質は、その大きさにより単糖類オリゴ糖類多糖類の3種類に分けられる。

① 単糖類は、最も小さい構成単位からなる糖質のことで、ブドウ糖果糖がこの代表である。

② 多糖類は、この単糖類が数十から数千個つながったもので、身近なものには でん粉や寒天、食物繊維などがある。

③ オリゴ糖類は、単糖類が2から20個程度つながったものであり、二糖類である砂糖麦芽糖(マルトース)もオリゴ糖類に含まれる。

しかし、多くのオリゴ糖は消化されにくい性質をもっており、「砂糖とは異なる特性を持った糖」という意味で、これらのみを総称してオリゴ糖と呼ぶことが多い。

多くのオリゴ糖が、低甘味、低カロリー、胃や小腸で消化されずに大腸にまで達しビフィズス菌の栄養源になる、虫歯の原因になりにくいという共通した性質を持つ。

face01 糖質の大きさによる分類




face01 糖アルコール

  糖質に水素を添加(還元)し、化学的に安定させたものである。

天然にも種々の糖アルコールが存在するが、一般的には工業的に酵素反応などによって生産されており、ソルビトールマンニトールマルチトール還元水飴などがある。


  非褐変(かっぺん)性(タンパク質やアミノ酸と加熱しても変色しない)などの性質を持つことから、加工食品に使われている。

また、消化・吸収されにくいため、低カロリー甘味料としても使用される。

多量に摂取した場合には、緩下作用(お腹が緩くなる作用)があるものもある。


face01 天然甘味料


  植物の葉や果実などに含まれている甘味成分を抽出した甘味料である。ステビアのほか甘草(グリチルリチン)、羅漢果などがある。

face01 人工(合成)甘味料

  化学合成により作られる高甘味度甘味料で、低カロリー甘味料として使用される。

食品衛生法に基づく指定添加物である。アスパルテームスクラロースアセスルファムKサッカリンサッカリンナトリウムがある。


次回は個々の甘味料についてふれてみたいと思います。





Posted by 安儀製餡所 at 20:48 甘味料コメント(0)

甘味について

2012年10月22日
今回は、あんことは切っても切れない関係にある、甘味について少し考えてみたいと思います。

face01 味を感じるメカニズム

 ヒトは5つの味を感じる。「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うま味」だ。

これらの味を感じるメカニズムが,近年の研究で明らかになった。

舌や口に点在する 味蕾(みらい) にいくつかの味覚細胞があり,各味覚細胞はその表面にあるセンサー(受容体)を使っていずれかの味を専門に感知している。

甘味細胞にある甘味受容体は甘味を,うま味細胞にあるうま味受容体はうま味を感じるといった具合だ。

甘味受容体が砂糖分子と結合すると,味蕾は脳に甘味シグナルを送る。

砂糖分子が多いと,甘味受容体と砂糖分子の結合数が増え,脳に送られる甘味シグナルは強くなる。(以上日経サイエンス  2008年11月号より)


face01 味蕾(Taste buds)



味蕾とは実際に味を感じる舌の表面近くにある味覚の受容器です。

味蕾は直径約50マイクロメートルで、舌の表面に対して味孔という孔が開いています。

この穴から味の化学分子が入り込みます。

味蕾の中には基底細胞、支持細胞および味覚細胞という異なった種類の細胞があります。

この中で味を感じることができるのは味覚細胞です。

さらに拡大するとこの味覚細胞の細胞膜表面に味分子の受容体が発現しています。





味をよく感じるために基底細胞の分化によって絶えず新しい味覚細胞が作られており、味覚細胞の寿命はほ乳類で約10日です。

舌以外でも咽頭、喉頭等でも味覚を感じることができ、口腔、咽喉頭等、全体で10000個以上の味蕾があります。

一つの味蕾には約50本の感覚繊維が分布しています。

1つの神経線維は平均5個の味蕾に分布しています。

低濃度の化学(味)刺激ではそれぞれの味蕾はそれぞれの味に敏感ですが、高濃度刺激では2つ以上の味に反応します。


face01 あんこの甘味

あんこに甘味を加えるために、よく使われる甘味料 (食材、食品添加物)は

① 砂糖

② 水あめ
       農畜産業振興機構による分類では、ブドウ糖、麦芽糖、果糖とともに「でん粉由来の糖」に分類される。

③ 糖アルコール

  糖質に水素を添加(還元)し、化学的に安定させたものである。天然にも種々の糖アルコールが存在するが、一般的には工業的に酵素反応などによって生産されており、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、還元水飴などがある。

  非褐変性(タンパク質やアミノ酸と加熱しても変色しない)などの性質を持つことから、加工食品に使われている。

また、消化・吸収されにくいため、低カロリー甘味料としても使用される。

④ 加糖調製品

 砂糖に他の食品素材を加えた食品加工用原料のことを指し、ソルビトール調製品 (砂糖とソルビトールを混合したもので、ショ糖含有率が全重量の50%以上85%未満のもの) が広く流通しているが、最近はマルチトール調製品も増加傾向にある。

⑤ トレハロース

農畜産業振興機構による分類では「糖質系甘味料」の「その他の糖」に分類される。

高い保水力を持ち、食品や化粧品に使われる。

抽出する方法が難しく高価なものだったが、近年でん粉からの安価な大量生産技術が岡山県の企業、林原によって確立され、さまざまな用途に用いられている。

⑥ 人工甘味料

が挙げられます。


一般的には、①、②が食材に、③~⑥が食品添加物に分類されます。

次に、今回は最近特に使われることの多くなってきている、人工甘味料について簡単に触れてみたいと思います。

face01 人工甘味料はなぜ甘いか?


たとえば、 カロリー(糖分)ゼロを謳ったコーラには、スクラロースやアスパラテームという「人工甘味料」が使用されています。

こうした人工甘味料は、 基本的にカロリーがないか、 極めて少ないのですが、 それでいて 自然な砂糖の甘さとはちょっと違いますが、 それでも、それに似た 「甘味」を感じさせます。


素朴な疑問として、 何故カロリーもない化学物質が、甘味を持っているのでしょうか?

人間が甘味を感じるのは、 前述したように舌の味蕾(みらい)にある、甘味受容体に砂糖などが結合するためです。

 こうした甘味受容体の構造と機能を逆手にとって,私たちが口にしたときに感じる味を変えてしまおうという研究が進んでいます。

つまり、たとえカロリーがなくとも、 甘味受容体に結合する物質は 人間には「甘い」と感じられるのです。

従って、 甘味受容体に結合する化学物質が、 人工甘味料というわけです。



次回は、今回でも少しふれましたが甘味料の種類について簡単に説明したいと思います。


 


























Posted by 安儀製餡所 at 16:57 甘味料コメント(1)

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