先日、MBS毎日放送のある番組で「今一番売れている和菓子は「倍返し饅頭」である。」というようなことを放送していました。

一見、何の変哲もない黒糖饅頭のようですが、これが「倍返し」という魔法の焼印が押されるだけで、飛ぶように売れていくのだそうです。

MBSはTBS系列ですから身びいきもあるでしょうが、まあ、うらやましい限りです。衰えたりとは言え、TVの影響力はまだまだあるものだなあと感心します。

ひょっとしたら、いまごろ中国で「倍返し饅頭」のコピー商品を増産しているかもしれません。




TVといえば、先日テレビ朝日の「TVタックル」で中国産食品を取り上げていました。

このなかでコメンテイターと称する人たちが、「中国産食品は危険なのに検査する検体数が少ない」とか言っていましたが、TVで指摘するのは筋違いではないでしょうか?

民放TVの目的である視聴率、その視聴率調査こそが統計学的手法に基づき、私のような素人から見れば少なすぎるような検体数で調査して、その数字に支配されています。

デジタル放送化された現在ならば、技術的に全数検査が可能なTVがサンプル調査しかしていないのに、到底現実的に不可能な輸入食品の全数検査など要求するのは、少し矛盾しているように思いますが、どうでしょうか?

Posted by 安儀製餡所 at 16:52 あんこの楽しみ方コメント(0)
今回は前々回で少し説明した餡の表示方法について、この記事から考えてみたいと思います。

現行の表示法では、餡は加工食品であっても原産地表示を義務付けられている。だが不思議なことに、「砂糖を加えた餡」は表示対象外となるのである。

要するに、私たちが和菓子やアンパンで口にしている甘い餡は、中国産であっても判別不可能。ときおり親切に「国産」と表示してある商品があるので、そうしたものを選びたい。


以上が週刊文春に記載されていた記事です。

表示法に関する記述は正しいと言えます。ただし、付け加えると現実的には、「砂糖を加えた餡」以外の餡が一般に流通することは、「乾燥餡」を除いてほとんどありません。



face01 生餡

「乾燥餡」を除く、「砂糖を加えた餡」以外の餡とは私たちが「生餡」と呼んでいるものです。

ご覧になったことのない人も多いと思いますので、「生餡」とは以下の写真のものです。


生餡、小豆


これは水分が60%前後もあり、品質の管理が非常に難しく、普通小売店で販売されることはまずありません。それだけ商品の鮮度を保つことは難しいものです。

これらは和菓子店で加工されるか、自社で加工されて加糖餡となります。

一方、「乾燥餡」は読んで字のごとく、乾燥しているので、商品は痛むことはまずなく、小売店やネットで購入できます。

これが、「乾燥餡」と「生餡」の大きな違いです。

いずれにしても、消費者が食べるのは、「生餡」や「乾燥餡」ではなく、「加糖餡」だけなのです。

face01 加糖餡の表示

現在、加糖餡(生餡に砂糖を加熱しながら練った練り餡)は下の表にあるように材料の原産地表示の義務はありません。



㈳菓子・食品新素材技術センター監修「わかりやすいお菓子の表示」



たしかに、消費者に流通しない「生餡」に原産地表示が必要で、流通している「加糖餡」に表示義務がないというのも不思議です。

その理由については、私も心当たりがありますが、確証があるわけではないのでここでは書きません。

face01 特色のある原材料

ときおり親切に「国産」と表示してある商品があるので、そうしたものを選びたい。


とありますが、実際には「特色のある原材料」として小豆についてはこの下の表にあるように様々な表示がされています。

㈳菓子・食品新素材技術センター監修「わかりやすいお菓子の表示」

























しかしながら小豆を「特色のある原材料」として表示するのは「諸刃の刃」になるという側面があります。

小豆は農産物ですので、年によっては、各品種、生産場所、選別工程(豆の大きさ)によって、出来、収穫量が異なります。また周知の通り相場制のものですから、価格は年度、時期によって大きく変動します。

加糖餡にしても、それ自体での売り上げはたかがしれていて99%は、和菓子、パンに加工されます。

ですから、不作等何らかの理由で、収穫量が落ち込んで価格が急騰したからと言って、和菓子、パンメーカーの了解なしに
餡の値上げや原材料の変更ができません。

「特色のある原材料」を表示することはこのように「自縄自縛」におちいり、経営を悪化させる可能性があります。

したがって、「国産小豆」という表示はリスク回避という側面もあるのです。

Posted by 安儀製餡所 at 10:10 あんこの楽しみ方コメント(0)
 前回の続きです。

私がこの記事を読んで次に疑問に思ったのは下記の件です。

餡の原料となる小豆は15,522トン中国産輸入品。砂糖を加えて練った餡そのものも、全輸入量の約7割が中国産なのだ。(週刊文春 9月12日号より)

これを読んで、私の同業者たちも口を揃えて「中国産が全輸入量の7割なんておかしい?95%の間違いだろう。これが本当なら残りの3割はどこで造っているのか?」

と疑問に感じています。

そこでどこかに加糖餡の国別輸入実績の統計がないか調べてみたら次の資料が見つかりました。

これは株式会社 丸勝のホームページに掲載されていたものです。





これから判断するとやはり7割はおかしいとおもうのですが?

Posted by 安儀製餡所 at 21:49 あんこの楽しみ方コメント(0)
週刊文春 9月12日号に「危ない中国産を見破る方法」という特集記事が掲載されていました。

この一連のシリーズで今回は和菓子や餡についても取り上げられていたので、興味を持って読んでみました。

しかしながら読んでみるとあんこ屋の常識からは考えられないような内容がありましたので、少し指摘してみます。

 中国では餡を作る際、小豆以外に東南アジアから『ビルマ豆』という小豆の代用品を使って製造しています。しかし、ビルマ豆には『シアン青酸配糖体』という物質が含まれており、摂取すると体内で青酸カリを生成するのです。ビルマ豆を国内で使用する場合は基準が設けられていますが、中国での検査実態は疑わしい。(食品評論家・小藪浩二郎氏)

以上が週刊文春に掲載されていた内容です。

あんこ屋の立場から言わせてもらいますと、『ビルマ豆』(私たちは「バター豆」と通常呼んでいますので以後は「バター豆」とします)を小豆の代用品に使うことはまずありません。

「バター豆」はインゲン豆属ライ豆種に分類され、白餡を造る原材料として、主にミャンマーから輸入されてきました。

したがって、赤餡を造る原材料である「小豆」の代用品として「バター豆」を使うことはまずありません。

ただし、価格的にみれば、日本で購入すれば「バター豆」は「中国産小豆」より安いことから考えて、この記事にあるように中国の生産者が増量してコストを下げるために何パーセントか混ぜて使用する可能性はあります。(ただし、中国国内での
「バター豆」と「中国産小豆」の価格について実体はわかりませんが)

仮にこの記事の内容が事実ならば、次の問題があります。

①食品表示

 中国製の加糖餡の赤こしあんや粒あんの原材料には「小豆」とともに「バター豆」も併記されなければなりません。もし表示されていないのであれば、偽装表示となります。

②シアン残留

 シアン化合物といっても土壌、水質汚染や農薬、化学肥料などの影響で発生するものでは、決してありません。



 豆科植物には、動物・昆虫による食害や微生物よる加害への対抗手段として、種子に種々の有害物質を含むものがあることが知られています。

例えば、大豆、いんげんまめ等には、種々のたんぱく質分解酵素阻害物質やレクチンと総称される赤血球凝集作用物質が含まれています。

また、東南アジアや中南米で生産されている「ライマメ」という種の豆には、シアン化合物(青酸配糖体のファゼオルナチン。リナマリンとも呼ばれる。)を含んでいるものがあります。

シアン化合物は、豆類以外にも梅、杏仁(アンズの種)、キャッサバ等にも含まれている成分で、含有量が多いと、植物内に含まれている分解酵素や腸内細菌により分解されて青酸(シアン化水素:HCN)を遊離し、食中毒の原因となる可能性があります。

しかし、豆類の場合、調理・加工時に繰り返し水にさらすことにより完全に除去することが可能です。

このため、日本では、豆類と生あんに関しては、食品衛生法に基づいて定められた「食品、添加物等の規格基準」(昭和34年厚生省告示第370号)の中で、流通、用途、製造方法等が規制されており、これにより食品としての安全性が確保されています。
 
以上は「豆類協会」H.P.からの引用です。詳しくはこのホームページを参照下さい。

face01 結論

したがって、この週刊文春の記事が真実であるならば、中国製加糖餡はそれを食べた人に健康被害を与えることになります。

行政機関(消費者庁か厚生労働省かは知りませんが)は、中国製加糖餡については、原材料にインゲン豆の表示がなくてもシアン化合物の残留の有無を検査する必要があります。

以上、あくまでもこの記事を信用すればですが!

Posted by 安儀製餡所 at 21:22 あんこの楽しみ方コメント(0)

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