お正月用の本として買った一冊が、
坂木 司 著「和菓子のアン」 です。
何年か前に書評で紹介されていたのを憶えていたのですが、今回文庫本になっていました。
大変読み易くて和菓子の(特に上生菓子)の勉強にもなります。
私などもこの小説に登場する上生菓子をすべて見たことや食べたことがあるわけではありません。
今年はお店で見かけたらぜひ買って食べてみたいと思います。
深夜枠で「孤独のグルメ」や「深夜食堂」みたいにドラマ化されれば嬉しいのですが。
Posted by 安儀製餡所 at 11:18
本棚
│
コメント(0)
あんこ屋のブログで紅葉の写真ばっかり掲載してもしょがないので、今回は もみじ饅頭の話を。
と言いましても、弊社が取引をしている和菓子屋さんには もみじ饅頭 を作っているお店はありませんので、私の聞きかじ
りの情報だけです。
もみじ饅頭とは
紅葉の名所として知られる日本三景・安芸の宮島の名物で、代表的な土産品である。
現在では広島市内でも多くの店舗で購入が可能で、広島みやげとして全国的な知名度がある。
起源

一般的には次のように言われています。
もみじ饅頭を発案した人物は明治後期の厳島(宮島)の和菓子職人、高津常助とされている。
島内の名所・紅葉谷の旅館「岩惣」には、当時伊藤博文やヘレン・ケラーら国内外の要人が多く投宿していたが、この岩惣に和菓子を納入していた高津は、宿の仲居から「紅葉谷の名にふさわしい菓子が作れないか」と依頼され、試行錯誤の結果、1906年に「紅葉形焼饅頭」を完成させた。

伊藤博文の冗談が起源とする説について
もみじ饅頭の起源には伊藤博文がかかわっていたという説があり、今日でも広く流布している。
内容は、「伊藤が岩惣の茶屋で休憩していた折、給仕した娘の手を見て『なんと可愛らしい、もみじのような手であろう。焼いて食うたらさぞ美味しかろ』と冗談を言ったのを岩惣の女将が聞きとめ、饅頭屋がこの話をヒントに考案した」というものである。
まあ、今日では セクハラ で大騒ぎになったことでしょう。
構造・製法
焼饅頭の一種である。
小麦粉・卵・砂糖・蜂蜜を原料とするカステラ状の生地で餡を包み、モミジの葉をかたどった型に入れて焼き上げる。
餡はこしあんが基本で、製法についてはどの製造元でもほぼ同一である。
餡の種類
こしあん
もみじ饅頭が誕生した1906年当時からの、もみじ饅頭の基本とされる餡。
つぶあん
昭和初期、若き日の「ヒゲの殿下」こと高松宮宣仁親王が厳島を訪問した際、所望したのがきっかけで誕生した。
白あん・抹茶あん・栗あん
第二次世界大戦後に考案された。最中や栗まんじゅうなど、各地の銘菓を参考にしたもの。
チーズ
1980年代、もみじ饅頭のブームが到来した際に考案された、最初の変わり種あん。食べる際に電子レンジで1個10~20秒加熱(500W)すると、チーズがとろけておいしくなる。
チョコレート
チーズ入りとほぼ同時期に登場し、扱う店舗数もチーズ入りと同程度。これも、少し温めるとチョコレートがとろけておいしい。また、冷凍庫で冷やしても味わいがよい。
クリーム
カスタードクリームが入っている。
その他
りんご(角切りしたもの)、餅、クリームチーズ、芋あん、竹炭パウダー入り(にしき堂の黒もみじ)など、現在も新商品の開発が続いている。
皮むきあん
私が知っている限り、もみじ饅頭の特徴と言えるのは、赤こしあんに皮むきあんを使っているお店が多いことです。
ただし、全てのお店というわけではなく普通の赤こしあんを使っているお店もあります。
製造方法
皮むきあんとは、小豆を最初に軽く茹でてその表皮をむきます。その後煮豆して、篩に通してあん粒子を整え水に晒し、脱水します。
したがって、以前に説明した
豆ペーストで作るあん とは対極にあると言えます。
特徴
いわば、小豆にある、ある種の「えぐみ」を完全に取り去り、小豆色の薄い、あっさりとした味のあんを作ることが目的です。
一言でいえば、「小豆で作る赤こしあんと、いんげん豆で作る白こしあん の中間のようなあん」 です。
用途
主な用途としては、他の素材や香りを生かしたい場合、たとえば 酒饅、パイ饅、タルト あるいは 鹿の子(かのこ)で使われます。
次にあんの色を薄くしたい場合、小豆は高級なものほど、赤みが紫色に近く、安価なものほど黒色に近くなっていきます。
したがって、薄い色のあんを使いたい時に、皮むきあん を使います。
いずれにしても、皮むきあん を作るのは、手間が掛かるのとともに、歩留まりも悪く通常のこしあんと比べ高コストになります。したがって、それに見合うだけの メリット があるということでしょう。
Posted by 安儀製餡所 at 21:41
あんこの楽しみ方
│
コメント(0)