丹波大納言

2017年03月07日
平成29年になって数か月たつというのに昨年のことで恐縮ですが、さる12月10日(土)テレビ朝日の「ごはんジャパン」という番組で弊社のブログにある 小豆の花の写真が使用されました。





これについてはテレビ朝日の方より写真使用の件について事前に連絡をいただき、弊社としても何の問題もないため了解致しました。(ただし番組の趣旨からは若干の問題もあるのですが)

この放送では「丹波大納言」について取り上げていましたので私もこれについて知っていることを少し書いてみたいと思います。

その前に豆類協会のHPに大納言の花の写真およびその解説がありましたので載せておきます。(ただし、大納言の種類、撮影場所は不明ですが!)




あずきの中で特に大粒な特定の品種群は、「大納言」と呼ばれ、流通・加工上、普通のあずき品種とは区別されています。その名前の由来は、この品種群のあずきは、大粒なだけではなく、煮たときに皮が破れにくい特徴を持ち、いわゆる「腹切れ」が生じにくいことから、切腹の習慣がない公卿の官位である「大納言」と名付けられたと言われています。なお、円筒あるいは俵のような豆の形が大納言が被った烏帽子に似ているためという説もあります。江戸時代には、「大納言」より小粒なため「中納言」、「少納言」と名付けられた品種もあり、現在も長野県、福島県等一部地域で栽培がみられます。..

 大納言の栽培面積が一番多いのは北海道ですが、兵庫県、京都府で栽培されている「丹波大納言」は種皮が赤く、大粒で俵型をしており、江戸時代から知られていました。現在、北海道で栽培されている品種には、「アカネダイナゴン」、「とよみ大納言」などがあり、兵庫県、京都府にはそれぞれ「丹波大納言」、「京都大納言」などの品種があります。

 大納言は大粒で、煮くずれしにくいことなどから、甘納豆、鹿の子(かのこ)など豆粒の形状を保った豆製品の原料として用いられます。




小豆が煮崩れ(「腹切れ」)を起こす理由


この番組でも取り上げられていた大納言が小豆と比べて煮崩れ(「腹切れ」)が生じにくいという点ですがそれは以下の事に起因します。

一般的に、煮くずれしにくい豆は加熱で膨らむデンプンが少なくさらに、外側の皮も柔らかいと言われています。しかし、小豆は他の豆と比べてデンプンの量が多く、加熱されたデンプンは膨らんでいきますが、皮が硬く膨らまないので、すぐに皮が破れてしまいます。その結果、煮崩れが起きてしまうというわけです。

大納言小豆と小豆の違い

大納言小豆は小豆と比べると外側の皮が柔らかいため、煮豆をしたときに皮が破れにくく、いわゆる「腹切れ」が生じにくいと言えます。
この特徴が丹波大納言小豆が普通小豆と比べて高価である一番の理由です。


つまり大納言小豆は大粒で、煮くずれしにくく、皮も柔らかいことなどから、甘納豆、鹿の子(かのこ)などに適しています。



日本で一番高価な小豆

さて、丹波大納言が一番おいしいかどうか?というのは人それぞれですが、間違いなく言えるのは「日本で一番高い小豆」ということです。

小豆はその用途によって使い方が変わってきます。先に大納言小豆はは甘納豆、鹿の子(かのこ)などに適していると書きましたが、こしあんについてはどうなのでしょうか?

こしあんに向いている小豆

以下は加藤 淳著「小豆の力」より引用、抜粋します。

食物を口に入れたときに感じる舌ざわり、このテクスチャーとも呼ばれる食感はおいしさを左右する重要な要件です。舌ざわりが悪いと、食感は著しく損なわれますが、反対に舌ざわりが良いと、その心地いい感触をしばらく味わっていたい気分にさせられます。

それはあんに関しても同様のことで、舌ざわりが重要なポイントとなります。

こしあんですと、なめらかな舌ざわりがあんの甘味とあいまって、何ともいえないおいしさをうみだします。
粒あんの場合は適度な柔らかさに仕上がった小豆の粒の食感が、甘味とともに絶妙なハーモニーを舌の上で醸し出してくれます。

舌ざわりを支えているのは、あん粒子の大きさと、その粒径の揃い方にあります。粒径とは粒子の大きさを直径で表したものをいいます。

レーザー回折式粒度分布測定器を使って、あん粒子の大きさを調べると、50~250μmの範囲に分布が認められます。このうち小豆のあん粒子本体は、75~150μmの範囲に分布しています。この中で、食感として最も好ましいとされるのは、100μm前後のあん粒子です。
あんの粒径は普通小豆で小さく、大粒の大納言では大きくなります。

「エリモショウズ」」「きたのおとめ」「きたろまん」など北海道産の普通小豆からは、平均粒径が100μm前後のあん粒子ができます。このようなあん粒子は、舌触りとしては滑らかでクリーミーなこしあんとなります。

一方、「とよみ大納言」に代表される百粒重(小豆の重さ)の大きい大納言からは、平均粒径の大きい、すなわち120μm前後のあん粒子ができます。
この場合、舌ざわりとしてはややザラッとした感じとなります。このことから、大納言はこしあんよりも、小豆の粒の食感を味わう粒あんに適しているといえるのです。

私たちの舌は、あん粒子の大きさ10μmの違いを感知することが出来ます。大納言のあん粒子のように、平均粒径が大きいとざらつきを感じます。昔から、普通小豆はこしあんに、大納言は粒あんや小倉あんに用いられてきましたが、あん粒子の大きさから考えても、理にかなった使い方ということが出来ます。


以上はあくまでも見解の一つです。

味についてどう思うかは個人の感じ方によるものです。

最近は釜の中でグタグタに煮て「腹切れ」させた豆を完全に擦りつぶした、いわば「豆ペースト」みたいな「あん」を好む人も多く、こしあんでも腹切れさせることなくあん粒子を残したままたきあげる弊社のこしあんはたまに「ざらつく」と言われる事もあります。まあ味の好みは人それぞれです。



あん粒子の写真

二つの丹波大納言

厳密にいえば現在市場には二種類の丹波大納言が流通しています。

一つは私たちが丹波種と呼んでいる丹波地方以外で採れた「丹波大納言」、もうひとつが丹波地方で採れた「丹波大納言」です。
現在のルールではこの二つが存在しても問題とはなりません。

一方意外に思われるかもしれませんが、現在の行政区分には 丹波 は存在しません。

丹波(地方)とはどこなのか?   続きを読む

Posted by 安儀製餡所 at 21:17 あんこ豆知識コメント(3)

MOBAC SHOW 2017

2017年03月01日
さて、2017 MOBAC SHOW(第25回 国際製パン製菓関連産業展) が2月22日(水)から25日(土)までインテックス大阪で行われました。

そこで弊社もちょこっとだけ試食品という形で参加いたしました。

今回は日頃お付き合いのある(株)コウリョーさんが出展されました。そこで「備中紅娘粒あん」、「作州黒豆かのこ」、「備中大納言かのこ」、「備中白小豆こしあん」といった弊社の商品を使ったパンや和洋菓子が試食品として並びました。



「作州黒豆かのこ」、「備中大納言かのこ」は和歌山市にあるpâtisserie la joue さんにお願いしてパウンドケーキの中に入れてもらいました。

「備中白小豆こしあん」は泉佐野市の「京たちばな」さんが上用饅頭にしてくれました。

「備中紅娘粒あん」は(株)コウリョーさんがあんぱんにしていました。

評判の方ははおしなべて好評だったということです。

いずれにしても何事もなく終わり胸をなでおろしています。

Posted by 安儀製餡所 at 15:05 安儀通信コメント(0)

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