大腸菌群

2013年05月24日
3月28日 発行の 週刊文春 に あなたが食べている『中国猛毒食品』 という特集記事が掲載されていました。

このなかで普段あまり耳慣れない 大腸菌群 という言葉が使われていました。

この記事では『中国汚染食品最新リスト」には 大腸菌群 と書かれていたのに 見出しでは 大腸菌 と書かれています。

単純な疑問として 大腸菌群 = 大腸菌 なのでしょうか?

以下は私の聞きかじりの知識ですが、大腸菌群と大腸菌について書いてみたいと思います。

 
hana3 大腸菌群と、大腸菌は同じか?

大腸菌群とは病原性大腸菌の集団ではありません。

結論から言えば 「大腸菌群陽性であっても大腸菌陰性の場合がある、また、大腸菌群陰性であっても大腸菌陽性である可能性がある」 ということです。

face01 大腸菌


まず大腸菌とは、人や動物の大腸内に存在する菌で、大便の中に沢山います。

腸内細菌として、大便と一緒に大腸菌も排出されますので、もちろん、排便された大便の中にも、大腸菌は存在します。腸内細菌である善玉菌や、悪玉菌もそうです。

犬や猫などの動物も、外で大便をすれば大便が土と混ざるので、土壌から、大腸菌がみつかる事もあるかもしれません、
しかし大腸菌は、土の中や水、空気中などで、環境中に存在する事は、あまりありません。

face01 大腸菌群

大腸菌群とは、大腸菌と同じような性質をもっていますが、純粋に大腸菌の事だけを言うのではありません

自然界に広く存在する、大便経由ではない大腸菌に分類されていない、多くの菌類を含んだものを、まとめて大腸菌群といいます。

大腸菌群は、人や動物の大便系とは、直接に関係のない自然界にも広く存在していますので、衛生管理のための汚染指標として活用されています。

加熱しない生鮮食品から、少量の大腸菌群が検出されたり、また加熱済みの食品からの菌が検出された場合は加熱が不十分であった可能性や加熱後に2次汚染した場合などが考えられます。

もしも、飲食店で大腸菌群が陽性になってしまった場合、食品の汚染指標になったりします。


また同じ腸内細菌で、食中毒菌であるサルモネラ等の汚染指標にもなります。

もし検査で検出されたのが、腸内に存在する大腸菌なら人や動物の大便からの汚染が予想されるます。

しかし、腸内に存在しない細菌だと、さらに視野を広げて、汚染の原因となっている、大腸菌群を調べる必要があります。

face01 大腸菌の細菌分類学上の定義

大腸菌とは、細菌分類学上の言葉で、特定の性質を持ち、国際命名規約に準拠した学名Escherichia coliを持つ菌を指します。

大腸菌(だいちょうきん, Escherichia coli)は、グラム陰性の桿菌で通性嫌気性菌に属し、環境中に存在するバクテリアの主要な種の一つである。この菌は腸内細菌でもあり、温血動物(鳥類、哺乳類)の消化管内、特に大腸に生息する。アルファベットで短縮表記でE. coliとすることがある。

face01 大腸菌群の衛生学上の定義

先に「大腸菌群とは、大腸菌と同じような性質をもっている」と書きましたが具体的には以下の点を指しています。

 大腸菌群とは、細菌学用語ではなく、便宜上の衛生学用語なのです。大腸菌群とは、「乳糖を分解し、酸とガスを産生するグラム陰性の好気性または通性嫌気性の無芽胞桿菌」と定義される細菌の集まりを指し、細菌検査法のうえから括られる集団を言います。


自然界に存在する大腸菌群の多くは、細菌分類学上のクレブジエラ属菌(Klebsiella spp.)、サイトロバクター属菌(Citrobacter spp.)、エンテロバクター属菌(Enterobacter spp.)などの汚水細菌がほとんどで大腸菌はごく少数派です。



また、食品衛生法の規格基準に出てくる大腸菌群は、以下の検査法から規定される行政用語なのです。

その検査法から規定される内容は「EC培地において44.5℃で増殖し、ガスを産生する菌」を指します。

従って、44.5℃で増殖しないか、増殖してもガスを産生しない大腸菌(かなり存在します)は E.coli (大腸菌群)ではないのです。


言い換えると 大腸菌群が陽性であっても大腸菌が陰性の場合があると同時に、大腸菌群が陰性であっても大腸菌が陽性である可能性があるということです。









Posted by 安儀製餡所 at 21:52 安儀通信コメント(0)

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