さる1月29日(日)、(この日は全豪オープンテニスの男子決勝の日です)午後から、特にすることもないので、TVを見ているとひな壇に座ったコメンテーターの人達が「ああだこうだ」という番組をやっていてその中で
食品ロス について取り上げていました。
出演者の方々はあまりこのテーマに興味がないようでしたが、私としては自分の仕事と関係が深いので、このような有名人が何を語るのか少し興味がひかれました。
ただ、この出演者の方々は「賞味期限」 「消費期限」 の他に
「食品納品期限」 というものが存在することをご存知ないようですので今回は少しこれについて書いてみたいと思います。
以下は農林水産省HPからの引用です。
日本の食品ロスと食品業界の商慣習
年間推計500~800万t(平成22年度)。これは我が国で本来食べられるのに廃棄されている食品、いわゆる「食品ロス」の量です。日本の米の年間収穫量が約850万t(平成24年)ですから、その膨大さがわかります。
食品ロスの中には、店頭に並ぶ前に廃棄されてしまうものが少なくありません。その要因の一つが、食品メーカーから小売店へ納品する際に設定される「食品納品期限」です。
過剰生産や需要が予測しにくいことなどによる流通のムダもあり、この期限までに小売店へ納品できなかった商品は、賞味期限前であっても廃棄処分されてしまうのです。
この納品期限は、少しでも新鮮な食品を消費者に届けるため、食品メーカー、卸、小売の間で取り決めている商慣習で、食品の製造日から、賞味期限までの期間の概ね3分の1以内となっています。したがって、その食品は賞味期限まで3分の2の期間を残して納品されます。これを食品業界では、「3分の2残し」と呼んでいます。
例えばこの期間を2分の1残し(納品期限は、製造日から賞味期限までの期間の2分の1までの期日)にすると、同じ賞味期限の長さの商品であれば、3分の2残しより、製造日からより長い期間納品できることになります。
納品期限が長くなれば、その分、賞味期限内の食品を廃棄せずにすみます。また、返品など の作業を減らすとともに、過剰生産と流通のムダの削減につながると考えられます。
まあ、番組ではいろいろなことをおっしゃっていましたが、「食品納品期限」について言った人はひとりもいませんでした。(編集でカットされていなければですが?)
賞味期限、消費期限 の決定方法
それとこの放送内では「賞味期限」 「消費期限」 は 誰が、どのようにして決めているのかということを疑問に思う人が一人もいないのが不思議でした。
私にすれば、私がよくわからない他のもっと重要とされるテーマ(政治、経済、安全保障等)についても何か信ぴょう性が疑われる気がしました。
Posted by 安儀製餡所 at 15:23
賞味期限
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賞味期限を今後どうすればよいか、私なりの考えをかいてみたいと思います。
その前に前回までの内容を簡単にまとめてみます。
Ⅰ 賞味期限の実態を掴むのは困難であり、どうしても実態より過少に表記される。結果食べられるものがゴミとなって処分
されてしまう。またそれに抵抗感を覚えて賞味期限の偽装となるケースがある。
Ⅱ マスコミの認識不足が事態を混乱させる。
対策
①
賞味期限を廃止し全て消費期限とする。
つまり
’おいしく食べられる期間’などという曖昧で主観的なものでなく,極端に言えば
’いつから腐りだすか?’ を明確にす
るのです。おいしく食べられる期間を正確に掴むことなど不可能です。
②
消費期限のガイドラインを政府が制定する。
消費期限を各食品メーカーが設定することなど我々零細企業には無理な話です。
それに対し政府には経済産業省、農林水産省、消費者庁と三つも関連する省庁があるのです。
どこかが責任を持って
’食品が食べられなくなる期日’ を示してほしいものです。
’おいしく食べられる期間’ については、ほっておいてくれて結構です。
各メーカーがこれ以上並べていても味が落ちて自社にとってマイナスになると判断すれば勝手に商品を処分します。ただそ
れを現行のように
賞味期限という形で厳密に期限を切って行えば、食品のゴミを増加させ、また前回書いたように認識不足
のマスコミが不必要な混乱を引き起こします。
③
正しい情報を一般消費者、マスコミに対し政府が責任を持って浸透させる。
マスコミについては責任は彼らの勉強不足にあることは明白ですが、彼らは世論を左右する力を持っています。
私たちのような零細企業は彼らの記事一つで簡単に潰れてしまいます。
したがって政府からマスコミに対し正しい知識を指導してもらいたいものです。
また一般消費者に対しても全くPR不足で誤解を招いているのが現状です。
以上が私の見解です。反論やもっと優れたご意見もあるでしょうが,先ずは参考までに。
Posted by 安儀製餡所 at 21:03
賞味期限
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今回は
賞味期限の続きについて書いていきたいと思います。
その前に以下の記事が新聞に載っていたのをご存知でしょうか?
2012年2月 2日
JR西日本は2日、大雪の影響でJR北陸線武生駅(福井県越前市)に停車していた
特急の乗客に、賞味期限を1週間過ぎた栄養食品143箱(1箱2本入り)を配ったと発表した。
一部の乗客は食べたが、体調不良などの報告はないという。
同社によると、2日午前10時20分頃、和倉温泉発大阪行き特急
「サンダーバード12号」(乗客約170人)が1時間遅れで同駅に到着。
除雪作業で出発できなかったため、正午頃、駅員が災害に備え、備蓄していた栄養食品を配った。
約40分後、賞味期限が1月26日だったことに同駅員が気付き、
すでに出発していた特急が次に停車する敦賀駅に連絡。
未開封の62箱を回収したが、81箱は乗客が食べた後だった。
(2012年2月2日20時12分 読売新聞)
これに対しJR側は次のように謝罪しています。
北陸本線武生駅 賞味期限を過ぎた非常食を配布した事象について
平成24年2月2日12時頃、大雪のため北陸本線武生駅でサンダーバード12号乗車中のお客様に対して配布した非常食の賞味期限が過ぎていたことが判明しましたので、お知らせいたします。
お客様に、多大なご迷惑をお掛けしましたことをお詫び申し上げます。今後、同じような事象を発生させないよう、再発防止に努めてまいります。
配布した経緯
平成24年2月2日12時頃に、大雪の影響で武生駅に停車中のサンダーバード12号に乗車中のお客様に非常食の配布を行ったところ、賞味期限を約1週間(平成24年1月26日)過ぎているものを143個配布していたことが判明しました。
配布してから約40分後に賞味期限を過ぎていることに武生駅社員が気付き、当該列車が停車している敦賀駅に連絡し、敦賀駅社員が13時過ぎからお客様にお詫びし62個を回収いたしました。
これなどは賞味期限に対する知識がマスコミに全くないことを端的に表しています。前回でも触れましたように賞味期限とは
"おいしく食べられる期間” (これも曖昧ですが!) を示しているのであり、別に腐ったものではないのです。
非常時にJR側が取った対策としては問題は全くありません。むしろこのようなことを大袈裟に騒ぎたてるマスコミ側の認識不足が日本で食品のゴミを増加させているのです。
Posted by 安儀製餡所 at 20:13
賞味期限
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今回は賞味期限について食品にかかわる零細企業の立場から少し考えを書いてみたいと思います。
さて、皆さんは賞味期限をどのように考えているでしょうか?
賞味期限というのは農林水産省か経済産業省あるいは消費者庁が科学的に算定したものである。
したがって賞味期限を1時間でも越えれば食品は腐りだす。
一時期マスコミで騒がれた賞味期限の偽装はこのようなスタンスで糾弾されていたのではないでしょうか?
賞味期限は食品衛生法やJAS法で定められている所の「 その食品を開封せず正しく保存した場合に味と品質が充分に保てると製造業者が認める期間(期限) 」であり、食品である以上、求められる衛生面での安全性や、味・風味などの機能が維持される期限であると定義されています。
つまり、賞味期限の決定は各食品メーカーに任せられているのであって、政府からのガイドラインに沿って決められているのではないのです。
しかも、実際は私の思うところ賞味期限は
現実的には在庫管理の目標値です。
そもそも賞味期限はなぜ必要になったのでしょう。
賞味期限は外圧によって必要になったのです。
経緯を簡単に説明しますと
.食のグローバリゼーション(国際的な食品流通)の進展に伴い、賞味期限の記載が一般的な諸外国から、「製造年月日の表示は、自由貿易への障害である」との外圧があったこと 。
言い換えると輸入食品は製造年月日の表示だと輸送期間があるため国産品と比べ競争上不利であるということです。外圧への反発意識があった一方、食品添加物を使っているために鮮度保持が容易で賞味期限が長く設定し易い商品と、そのような食品添加物を含まないために賞味期限が短く設定されている商品の区別がつけがたいという意識もあったことも否めません。
このような問題に対応する形で、1995年(平成7年)に賞味期限の表示に移行されました。
そもそも賞味期限とは、05年に統一された食品衛生法ですが、
賞味期限の決定は各食品メーカーに任せられているのが現状で、一般的には次の3つの検査を行った上で決められています。
菌の繁殖などを調べる微生物検査。
濁りや粘り、色や酸化などを調べる理化学検査。
実際に食べてみた食感や味、臭いなどを評価する感応検査。
このように、これまでは賞味期限に関して明確な基準はなく、各食品メーカーに任せ切りでした。
一方、賞味期限が必要以上に短いと、大量の食品廃棄の一因になるとの指摘もある。実際に農水省の調査によれば、07年度の食品廃棄などの年間発生量は、1134万t余りに上ると言うということです。
次に以下に示すのは、賞味期限が経過してなお所定の状態で保存し続けた場合の状態変化です。
前述の通り賞味期限は製品としての風味が保証される期限で、これの経過後に直ちに喫食に適さない状態になる訳ではない。
衛生さえ問題なければ食べられないこともない場合もある。この状態変化は、賞味期限内でも保管状況によって程度の差こそあれ常に進行している状態変化で、賞味期限を大きく過ぎると問題が顕著化するが、保存状態が悪いと賞味期限内でも発生しうる状態でもある。
なお農林水産省と厚生労働省はごみ問題にも関連して、賞味期限経過直後の食品は直ちに捨てるのではなく、出来る限り劣化しないうちに食べてしまうことを勧めている。
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Posted by 安儀製餡所 at 21:13
賞味期限
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ここでは
くるみ餅とくるみあん で少しふれた糖度と賞味期限の関係について簡単に説明したいと思います。
その前に糖度と密接な関係にある
水分活性(すいぶんかっせい)について説明します。
水分活性(すいぶんかっせい)とは食品中の
自由水の割合を表す数値で食品の保存性の指標とされる。
食品中にはタンパク質、炭水化物等と結合した
結合水と移動が容易な
自由水が含まれている。 食品中で微生物が繁殖するには適切な量の自由水が存在することが不可欠であり、食品中の水分活性を低下させる加工を行った場合、微生物の繁殖を抑制できる。 微生物の種別により繁殖可能な水分活性は様々であるが、一般的な食中毒菌で概ね0.900以上、乾燥や塩分に耐性を持つものでも0.800以上とされ、0.600以下になれば全ての微生物は繁殖が不可能になる。 水分活性を低下させる手法としては一般に以下のような方法が用いられる。
食品に塩分、糖分などを溶解させる事により自由水の比率を下げる。(塩漬け、砂糖漬け等)
食品の水分そのものを除去する(乾燥食品、燻製、干物等)
つまり糖度が高いということは、それだけ水分活性が低くなり、腐りにくく、賞味期限も長くなるということです。
言い換えると砂糖は天然の保存剤ということになります。
以下は余談ですが、この水分活性が「モナ.リザ」や「ダヴィデ像」を生んだともいえます。
東方貿易で栄えた中世イタリアの都市がルネサンスを生むわけですが、その主要な輸入品の一つが肉の保存に必要な香辛料でした。香辛料を使って肉の水分活性を下げたわけです。また北方健三氏の「水滸伝」でも梁山泊を支える経済的な基盤は「塩の道」でした。
水分活性の力は偉大であるということです。
Posted by 安儀製餡所 at 22:20
賞味期限
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