賞味期限について 1

2012年02月13日
 

 
 今回は賞味期限について食品にかかわる零細企業の立場から少し考えを書いてみたいと思います。

 さて、皆さんは賞味期限をどのように考えているでしょうか?

賞味期限というのは農林水産省か経済産業省あるいは消費者庁が科学的に算定したものである。
したがって賞味期限を1時間でも越えれば食品は腐りだす。

 一時期マスコミで騒がれた賞味期限の偽装はこのようなスタンスで糾弾されていたのではないでしょうか?

  賞味期限は食品衛生法やJAS法で定められている所の「 その食品を開封せず正しく保存した場合に味と品質が充分に保てると製造業者が認める期間(期限) 」であり、食品である以上、求められる衛生面での安全性や、味・風味などの機能が維持される期限であると定義されています。

つまり、賞味期限の決定は各食品メーカーに任せられているのであって、政府からのガイドラインに沿って決められているのではないのです。

しかも、実際は私の思うところ賞味期限は現実的には在庫管理の目標値です。

そもそも賞味期限はなぜ必要になったのでしょう。

賞味期限は外圧によって必要になったのです。

経緯を簡単に説明しますと

 
 .食のグローバリゼーション(国際的な食品流通)の進展に伴い、賞味期限の記載が一般的な諸外国から、「製造年月日の表示は、自由貿易への障害である」との外圧があったこと 。言い換えると輸入食品は製造年月日の表示だと輸送期間があるため国産品と比べ競争上不利であるということです。外圧への反発意識があった一方、食品添加物を使っているために鮮度保持が容易で賞味期限が長く設定し易い商品と、そのような食品添加物を含まないために賞味期限が短く設定されている商品の区別がつけがたいという意識もあったことも否めません。

このような問題に対応する形で、1995年(平成7年)に賞味期限の表示に移行されました


そもそも賞味期限とは、05年に統一された食品衛生法ですが、賞味期限の決定は各食品メーカーに任せられているのが現状で、一般的には次の3つの検査を行った上で決められています。
菌の繁殖などを調べる微生物検査。

濁りや粘り、色や酸化などを調べる理化学検査。

実際に食べてみた食感や味、臭いなどを評価する感応検査。
このように、これまでは賞味期限に関して明確な基準はなく、各食品メーカーに任せ切りでした。

一方、賞味期限が必要以上に短いと、大量の食品廃棄の一因になるとの指摘もある。実際に農水省の調査によれば、07年度の食品廃棄などの年間発生量は、1134万t余りに上ると言うということです。


次に以下に示すのは、賞味期限が経過してなお所定の状態で保存し続けた場合の状態変化です。

前述の通り賞味期限は製品としての風味が保証される期限で、これの経過後に直ちに喫食に適さない状態になる訳ではない。

衛生さえ問題なければ食べられないこともない場合もある。この状態変化は、賞味期限内でも保管状況によって程度の差こそあれ常に進行している状態変化で、賞味期限を大きく過ぎると問題が顕著化するが、保存状態が悪いと賞味期限内でも発生しうる状態でもある。

なお農林水産省と厚生労働省はごみ問題にも関連して、賞味期限経過直後の食品は直ちに捨てるのではなく、出来る限り劣化しないうちに食べてしまうことを勧めている。


では現実的に賞味期限はどのように決められているのでしょうか?

自社で研究室を持っていない弊社のような零細企業は一般的には製造後何ヶ月か保管し、それを外部機関に上記のような検査を依頼します。

その結果、仮に6ヶ月経過したものが問題がなかったとします。そこでその6ヶ月が賞味期限となるかというと、そうではないのです。つまり6ヶ月が消費者に受け入れられるかが問題になってくるのです。また本当の賞味期限は6ヶ月を越えて何ヶ月なのかというのも現実的には分かりません。

それで検討の結果、商品管理あるいは在庫管理上好ましい数字、言い換えれば目標値、たとえば3か月とかいう賞味期限が決定されるわけです。

言い換えると望ましい商品、在庫の回転日数=賞味期限となるわけです。

ですから6ヶ月でも問題がないのですから、3ヶ月を越えたところで食品としては何の問題もないことがほとんどです。

しかしながら、現実的には商品が3ヶ月で回転しない時もあり、その場合は賞味期限を越えたとして廃棄され大量のごみを生みます。

また、製造現場では原材料は、たとえ賞味期限を越えていても実質的には問題がないことが確認できれば(食べてみればわかります)、現場の担当者としては廃棄するのは忍びなく、使いたくなるものです。

このようなときに正義感からか、あるいは会社、職場に対する不満によるのか内部告発により大問題となって行くのです。

以上が賞味期限問題の実態ではないでしょうか。

それでは今後どのようにすればよいのか。私なりの見解を次回に書きたいと思います。




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Posted by 安儀製餡所 at 21:13 賞味期限コメント(0)
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