PH調整剤

2015年09月24日
さて、世界では米国でFRBの零金利政策の解除や、欧州の難民問題、勿論日本では安保法案など大問題が山積していますが、私が思い悩んだところでどうなるものでもないので、身の回りにある話題を取り上げたいと思います。

先日「産経新聞」を読んでいたら大阪の「毎日放送(MBS)」の元アナウンサー「八木早希」という人が以下のように書かれていました。

食品を買う時には必ず「原材料」欄をチェックし、できるだけ家にある調味料で終わっているものを買っています。以下カタカナの添加物、特に「PH調整剤」には抵抗があります。飲料でも、「オーガニック コーヒー使用」をうたっていても他に化学調味料が入っていたり、ヨーグルトは「無脂肪」でも砂糖が通常より多く入っていたりするのです。

イメージや「なんとなく」で商品を選ぶ年齢ではなくなってきました。年々「効いてナンボ」(意味不明?)。真剣に買物しなくては。


まあ、アナウンサーのような社会的地位の高い方が新聞でこのように書かれているのですから、おそらく正しいのでしょう。

ただ私の仕事に若干関係のある「PH調整剤」について蛇蝎のごとく嫌っておられるようなので、「PH調整剤」とはそんなに酷いものかと少し興味がわきました。

以下は私の知っている範囲で「PH調整剤」について書き、少しはその存在を弁護したいと思います。

食品とPHの関係(以下、上野製薬株式会社HPより)

pHは0~14の数値で物質の酸性~アルカリ性を表すものです。pH = 7を中性といい、数値が小さいほど酸性が強く、大きいほどアルカリ性が強いことを表します。



例えば、酸性の食品としてレモン(果汁のpH 2.2~2.4)、白ワイン(pH 3.0~3.4)、中性付近の食品として魚肉(pH 6.2~6.6)、ゆでめん(pH 6.5)、アルカリ性の食品としてこんにゃく(pH 8.0)などがあります。

参考:「微生物制御の基礎知識」藤井建夫、中央法規出版(1997)


大部分の細菌にとって、増殖に適したpHは6.0~7.5の中性付近です。カビや酵母はpH 4.0~6.0の酸性側でよく増殖します。これらの微生物(細菌、カビ、酵母等)が食品中で増殖するのを防ぐために、食品のpHをコントロールすることは有効とされています。つまり食品のphをコントロールするために使用されているのが「PH調整剤」です。


つまりお気づきとは思いますが、今や世界的に有名な「スシ」に使われる「酢飯」とはこの特性を使ってます。

炊き上げた米を酢飯にすることにより、弱酸性にし、味付けともに保存性を高めているわけです。

PH調整剤とは

「pH調整剤」という表記は特定の物質を指すものではなく、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸塩などを一括表示したものです。

各々の物質については、FAO/WHO合同食品添加物専門家委員会(JECFA)で審議、評価され、現時点では安全性が確認されているので、使用上限値も定められていません。



これらをpH調整の目的で使用する場合、単独での使用は少なく、2~3種類を組み合わせて使うことが多く、法律上も一括表示が認められています。

まあこのあたりの曖昧さがイメージや「なんとなく」で商品を選ぶ年齢ではなくなってきた人達には嫌われる理由ではないかと思われます。

PH調整剤と保存料

通常、食中毒防止に保存料を添加した場合には、「保存料(ソルビン酸カリウム)」などと具体的な使用成分を表示しなければなりません。

昨今は保存料に発がん性などの不安を感じている消費者が増えており、コンビニや食品メーカーとしては、売り上げに響くので保存料はできるだけ使いたくないのが本音です。

逆に保存料を使用していなくても最近よく目にする「この食品には保存料は一切使用しておりません」などと表示する義務は法律的にはありません。

これは消費者に対し保存料を使っていないということをアピールするためであり、代わりにPH調整剤を使っている場合が多々あります。

こうして、pH調整剤は保存料(ソルビン酸カリウム)に代わって使用されるようになってきました。

PH調整剤の問題点

①保存料との効力の差

次のレポートが参考になると思います。

このレポートの結論としては

「pH調整剤の使用量は保存料より多くなければ腐敗を防止できない。

pH調整剤の本来の働きは食品のpHを調整する添加物である。そのような添加物で本来の目的とは異なる微生物発育抑制に用いようとすれば使用量が多くなってしまう.。」ということです。


②リン酸塩

以下はBusiness Journal というサイトのPH調整剤及びリン酸塩についての記事です。

pH調整剤に使われている添加物の中で、特に問題なのはリン酸塩である。リン酸塩の過剰摂取は、ヒトの腸管から血液中にカルシウムが吸収されるのを妨げてしまう。血液中のカルシウムが不足すると、血液のpHを保つために骨からカルシウムが溶け出す。そのカルシウムが神経細胞内に溜まると、イライラや神経過敏を引き起こすといわれている。いつもイライラしたり、突然キレる人が非常に目立っているのも、リン酸塩の過剰摂取が一因にあるとの指摘も多い。また、リン酸塩はカルシウム以外のミネラル(微量元素)の吸収も阻害する。特に亜鉛を体外に排出してしまう。亜鉛は脳が正常に働くために必要不可欠なミネラルで、亜鉛不足もキレる現象につながっているともいわれている。


一方、次のような意見もあります。

pH調整剤などの食品添加物は、一生毎日摂り続けても安全と考えられる量(ADI)が求められています。そして、その量を大きく下回る量しか人に摂取されないように、必要に応じて使用できる食品や量が決められています。実際に人が摂取している添加物の量も調べられており、健康に影響するような量が摂取されていないことが確認されています。従って、身体を害するような量の添加物を摂ることは実質的には考えられません。

食品添加物が身体に悪いと言う人が多いのですが、食品添加物で日持ちの向上を図ることの出来なかった時代には、食中毒で年間に1,000人以上の死者が出たと言われています。食品添加物による事故で人が亡くなった例はありませんから、人の言ういい加減な情報に惑わされないことが必要です。


③全ての微生物に対して万能ではない

PH調整剤を使って弱酸性にコントロールしても、上の食品とPHの関係にあるようにカビや酵母はpH 4.0~6.0の酸性側でよく増殖するため効果がない。

この場合水分活性値を下げる、あるいは脱酸素剤を入れる等他の対策がとられることが多い。


まとめ

以上PH調整剤については肯定的な意見も否定的な意見もあり捉え方は人其々です。

ただ確実に言えることは

①PH調整剤がなければ食品の価格は上がるということ。

②次に廃棄する食品の量が増えるということ。

③食中毒が増える。

直接は関係ないですが最終的にはjこれからの難民への食糧支援にも支障をきたしてくると思われます。

後、私が疑問に思うのは八木早希氏が信じてやまない「家にある調味料」ですが、これにPH調整剤が使われていないのか?ということです。

表示されていなくとも、仮に使われていてもキャリーオーヴァーで表示されない可能性があるのではないかと思うのですが?

経済的に余裕のある方からすれば蛇蝎のような存在かもしれませんが、それなりの存在意義はあると思われます。PH調整剤の使われている食品を個人的に買わないのは自由ですがわざわざ全国紙の新聞にまで書いて啓蒙する必要があるのでしょうか。



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Posted by 安儀製餡所 at 18:17 安儀通信コメント(0)
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