最近 『黒餡』という言葉を耳にしました。
まず最初にお断りしておきますが、黒餡 というのは 黒大豆 で作った あんこ ではありません。
Yahoo 知恵袋に「黒餡は黒大豆で作られている(驚くことにこれがベストアンサーになっていましたが)」と載っていたので少し指摘しておきたいと思います。
基本的に黒餡とは和菓子屋さんや我々製餡業者が小豆を使って作った赤こし餡(一部粒あん)のことをその見た目から消費者が【黒餡】と呼ぶケースです。
この場合、製餡業者はおそらく自らは黒餡というものを作っているつもりはないと思います。
餡(赤こしあん)の色
餡の色と一口に言っても使用している原材料や製造方法によって違ってきます。
原材料による餡の色の違い
一般的に北海道産の小豆の場合、上質のものほど餡にすれば紫色に近い色に仕上がると言われています。
一方、中国産小豆は北海道産と比べて色が濃い(黒い)のが特徴です。
また丹波大納言の場合は兵庫、京都、岡山産を問わず北海道産のものと比べ色が赤いのが特徴です。
北海道産小豆
大納言小豆
もっとも赤こし餡と言っても原材料に全く小豆を使っていないものもいないものも存在します。
また、色を薄くするために 一般的に白こしあんの原材料であるいんげん豆を一部混ぜている和菓子屋さんもあります。
手亡豆
製造方法による違い
これは基本的に豆の炊き方によって変わってきます。
丁寧に渋切をして豆の腹切れを起こさずに炊いてやれば北海道産小豆は紫色に、丹波大納言は赤色に近く仕上がります。
いわゆるこの渋切(豆の煮汁を捨てる)を行わなかったり、不十分であれば 黒餡 と呼ばれるあんこになります。
また、豆が腹切れを起こしてしまうと、餡粒子が渋(煮汁)が流れてしまうため渋切がうまくいきません。いわゆる餡粒子に渋が着いた状態になり餡粒子本来の味が損なわれ、餡の色は黒くなってきます。
この辺の要因が絡まって皮むきや晒し工程を通らずに、釜の中で餡になっている場合 黒餡が出来上がります。(もっとも皮肉なことに経済的にはこのあんこが一番効率が良いのですが。)
皮むき餡
皮むき餡とは餡の色を黒くしない(薄くする)ために煮豆工程の前に小豆の皮をむき、それから煮豆して製餡したものです。
従って、どうしても普通に作れば小豆の風味は薄くなります。(対応方法もあるのですが)
黒大豆を使った餡
さて、黒大豆を使った餡というのもわずかですが存在します。(黒豆かのこではありません。)
実は弊社でも数年前に某コンビニで黒豆モンブランを販売したときにこの黒大豆を使った餡というのを作って納品しました。
黒豆餡
まあ、作るのに非常に手間がかかるのでどの製餡業者もやりたがらないようです。
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Posted by 安儀製餡所 at 20:42
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