先日WOWOWで放送された「ロックンロールプレジデント」
第39代アメリカ合衆国大統領ジミー・カーター。リベラルな姿勢を貫く彼は、同時に大の音楽好き。大統領在任時の1978年にホワイトハウスにミュージシャンを招いてコンサートを開いた最初の大統領でもある。「アメリカを団結させるものの一つが、僕らが共有し愛する音楽だ」と語る彼は、96歳となった現在も幅広いジャンルのアーティストたちとの交流を続けている。
そんなロックンロール・プレジデント、ジミー・カーターの音楽への情熱と、ボブ・ディラン、U2のボノ、ウィリー・ネルソンら著名ミュージシャンたちとの交友関係にスポットを当てたドキュメンタリー。ほかにポール・サイモン、ナイル・ロジャース、ガース・ブルックス、そして故人となったグレッグ・オールマンも出演。音楽が文化として深く根付くアメリカの一面を知る、興味深いドキュメンタリーといえるだろう。
Chuck Leavell
番組紹介ではB・ディランやウイリー・ネルソンの名前が出ていたのですが、実際は結構、特に前半は元Allman Brothers BandのChuck Leavell のインタビューが中心に進行されていました。(もっともこの時点ではG.Allmanは亡くなっていたので彼にインタビューすることは無理だったこともありますが。)
いまやローリングストーンズのサポートメンバーが彼のキャリヤの中では一番長いとは思います。私も彼を実際に観たのはローリングストーンズの初来日の時でした。
しかしながら、私にとってはChuck Leavellといえば亡くなったDuane Allman に代わって「Brothers&Sisters」から Allman Brothers Band に参加しバンドに従来にはないカラーを持ち込んだキーボープレイヤーとなります。
Allman Brothers BandもDuaneに代わるギタリストを補充するのではなく、キーボードプレイヤーを選択したわけです。これによってバンドの特徴であったツインリードギターによるハーモニーは無くなったのですが、やはりDuaneに代わるギタリストをみつけるのは難しかったのでしょう。代わりにChuck_Leavellの流麗なピアノソロがバンドのもう一つの目玉になりました。(個人的には一緒にLes Dudekも参加すれば良かったのにと思いますが)
特にロック インストロメンタルの傑作 Jessica のピアノソロは彼の存在を世界に知らしめました。
https://youtu.be/vTOozRAJ8dU
彼自身がJessicaのチュートリアル動画を創っています。
動画では「ディキー・ベッツがジャンゴ・ラインハルトがどうのこうの」と話していました。言われてみればJessicaは「Miner Swing」をメジャースケールでロックヴァージョンにしたもののような気がします。
https://youtu.be/n3IApdmQFTY
次の動画は故G.AllmanがStatesboro Bluesの育ての母とも言えるタジ・マハール(もちろん生みの母はBlind Willie Mactell)と共演したものでChuck LeavellやJack Pearsonのご機嫌な演奏が聴けます。
https://youtu.be/duWv1eMNdrk
ジミー・カーターとAllman Brothers Band
当時全米では全く無名だった彼が民主党の大統領候補になれたのはAllman Brothers Band の功績が大であったと言えます。
むかしの音楽雑誌に出ていた記事を思い出しました。
ジェリー・ブラウンと争った民主党の代表選でイーグルスやリンダ・ロンシュタットが彼を推し、オールマンズやマーシャルタッカーバンドがジミー・カーターを推した。さながらアサイラムとカプリコーンの新興レーベルの争いみたいなことが書かれていました。
ところが選挙期間中にオールマンズはグレッグがコカインの所持で逮捕され、司法取引に応じて、仲間を当局に売ったことから他のメンバーが怒り解散。まあ今から思えば星の数ほどある麻薬と関係のあったロックバンドの中でオールマンズを選んだのは何か政治的な思惑があったような気もしますが。
この事件がなくてもバンドの方は解散間近という感じでしたので、個人的にはそれほど驚きませんでした。
このあとグレッグとディキー・ベッツはそれぞれのバンドを結成、Chuck Leavellはオールマンズのラマー・ウイリアムス、ジェイモとシー・レベルを結成します。
Simple Man
ジミー・カーターに関してはこの時のChuck Leavellの話が一番興味深かったと言えます。
彼はこう言えたはずだ「ごめんグレッグ、ごめんオールマンズ。これ以上は危険すぎる。今までありがとう、グッバイ」
でも見捨てなかった。
まあ「グッドワイフ」に登場するアラン・カミング扮する選挙参謀のイーライなら卒倒しそうな行動をとったわけです。
結局このあたりが「大統領としてはどうなのか?」とも思いますが、ある意味彼の人物像を表しているのかもしれません。
政治の事はよくわかりませんが、彼の任期中に起こった様々な事件、「イラン大使館人質事件」「ソ連のアフガン侵攻」「モスクワオリンピック不参加」などの判断にも表れていたような気もします。
彼の就任式の模様が番組で紹介されていましたが、今から思えば当時は随分大らかな時代だったと思います。
タカ派で有名な共和党支持のジョン・ウエインがスピーチしたりするのはどういう経緯があったのかわかりませんが、国家内の対立が増している米国の現状を考えれば複雑な気持ちになります。
私が記憶している限りでは民主党内で対立候補を応援していたリンダ・ロンシュタットも出演して歌ったと思います。
就任式のパーティーには招待されていないCS&Nもやって来たとのことです。やはり孤高の人ニール・ヤングは行かなかったのは彼らしいと思います。もっとも Southern Man を創った張本人としては大変行きづらいでしょう(笑い)。
このドキュメンタリー映画の中で一番最後に流れていた Lynyrd Skynyrd の Simple Man 。カーター氏には一番ふさわしいかと思います。
https://youtu.be/sMmTkKz60W8
The Tree Man
オールマンズ解散後結成したシー・レベル
非常に評価の高いグループだったのですが数枚のアルバムを創った後解散。その後Chuck Leavellはローリングストーンズのサポートメンバーとなりました。
現在はローリングストーンズのサポートメンバーとしての活動をメインにミック、キース、ロニーのソロ活動もサポートしたり、クラプトン、ジョージ・ハリスン、デヴィッド・ギルモア、ガヴァメント・ミュール、ジョン・メイヤーのツアーとレコーディングにも参加しています。
もちろん、むかしの仲間オールマンズとも。
またアメリカの環境林業界では、優秀な木材生産者(tree farmer)として「ナショナル・ツリー・ファーマー・オブ・ザ・イヤー(National Tree Farmer of the Year)」にも任命されており、リーヴェルは「1本の木を伐採したら、後世のために2本の木を植えよ」と語っています。
まあ悠々自適とも言える暮らしで羨ましいです。
彼に関するドキュメンタリーも創られたそうです。
The Brothers 2020
次の動画は2020年3月にM.S.G.で行われたAllman Brothers Band の結成50周年(諸事情で途中だいぶ抜けていますが(笑い))記念コンサートです。
ここにChuck Leavellも参加し、なんとBlue Skyではリードヴォーカルをとっています。(ちょっと頼りないですが)
Warren Haynes に「せっかく来たんだから歌わせろ」と言ったんでしょうか。
この後世界が一変してしまうとは誰も思っていなかったでしょう。
https://youtu.be/OVOEJeZJOys
「その気になれば」 ありがとう R.I.P. 中川イサトさん (2022-08-28 21:43)
Both Sides Now (2022-07-29 18:22)
Please be with me (2021-11-27 16:26)
Long Black Veil 墓場まで持っていく秘密 (2020-12-27 20:21)
Whispering Pines 彷徨える魂 (2020-12-25 22:40)
Kesh jig (2020-06-26 21:20)