週刊文春 9月12日号に「危ない中国産を見破る方法」という特集記事が掲載されていました。

この一連のシリーズで今回は和菓子や餡についても取り上げられていたので、興味を持って読んでみました。

しかしながら読んでみるとあんこ屋の常識からは考えられないような内容がありましたので、少し指摘してみます。

 中国では餡を作る際、小豆以外に東南アジアから『ビルマ豆』という小豆の代用品を使って製造しています。しかし、ビルマ豆には『シアン青酸配糖体』という物質が含まれており、摂取すると体内で青酸カリを生成するのです。ビルマ豆を国内で使用する場合は基準が設けられていますが、中国での検査実態は疑わしい。(食品評論家・小藪浩二郎氏)

以上が週刊文春に掲載されていた内容です。

あんこ屋の立場から言わせてもらいますと、『ビルマ豆』(私たちは「バター豆」と通常呼んでいますので以後は「バター豆」とします)を小豆の代用品に使うことはまずありません。

「バター豆」はインゲン豆属ライ豆種に分類され、白餡を造る原材料として、主にミャンマーから輸入されてきました。

したがって、赤餡を造る原材料である「小豆」の代用品として「バター豆」を使うことはまずありません。

ただし、価格的にみれば、日本で購入すれば「バター豆」は「中国産小豆」より安いことから考えて、この記事にあるように中国の生産者が増量してコストを下げるために何パーセントか混ぜて使用する可能性はあります。(ただし、中国国内での
「バター豆」と「中国産小豆」の価格について実体はわかりませんが)

仮にこの記事の内容が事実ならば、次の問題があります。

①食品表示

 中国製の加糖餡の赤こしあんや粒あんの原材料には「小豆」とともに「バター豆」も併記されなければなりません。もし表示されていないのであれば、偽装表示となります。

②シアン残留

 シアン化合物といっても土壌、水質汚染や農薬、化学肥料などの影響で発生するものでは、決してありません。



 豆科植物には、動物・昆虫による食害や微生物よる加害への対抗手段として、種子に種々の有害物質を含むものがあることが知られています。

例えば、大豆、いんげんまめ等には、種々のたんぱく質分解酵素阻害物質やレクチンと総称される赤血球凝集作用物質が含まれています。

また、東南アジアや中南米で生産されている「ライマメ」という種の豆には、シアン化合物(青酸配糖体のファゼオルナチン。リナマリンとも呼ばれる。)を含んでいるものがあります。

シアン化合物は、豆類以外にも梅、杏仁(アンズの種)、キャッサバ等にも含まれている成分で、含有量が多いと、植物内に含まれている分解酵素や腸内細菌により分解されて青酸(シアン化水素:HCN)を遊離し、食中毒の原因となる可能性があります。

しかし、豆類の場合、調理・加工時に繰り返し水にさらすことにより完全に除去することが可能です。

このため、日本では、豆類と生あんに関しては、食品衛生法に基づいて定められた「食品、添加物等の規格基準」(昭和34年厚生省告示第370号)の中で、流通、用途、製造方法等が規制されており、これにより食品としての安全性が確保されています。
 
以上は「豆類協会」H.P.からの引用です。詳しくはこのホームページを参照下さい。

face01 結論

したがって、この週刊文春の記事が真実であるならば、中国製加糖餡はそれを食べた人に健康被害を与えることになります。

行政機関(消費者庁か厚生労働省かは知りませんが)は、中国製加糖餡については、原材料にインゲン豆の表示がなくてもシアン化合物の残留の有無を検査する必要があります。

以上、あくまでもこの記事を信用すればですが!


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Posted by 安儀製餡所 at 21:22 あんこの楽しみ方コメント(0)
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