今回は
こしあんと豆ペースト でふれた
豆皮 について少し説明したいと思います。
生あん(こしあん)を製造する際に豆皮が食品残渣として発生します。残渣とは濾過(ろか)したあとなどに残ったかすのことで文字通り豆皮がこれにあたります。
今のところ豆皮の処理方法としては次のものがあります。
① 飼料化
② 肥料化
③ 餡に混ぜる
④ 焼却処理
⑤ バイオマス原料
以下はそれぞれの問題点を考えてみます。
① 飼料化
現在日本では食品残渣を飼料化することが求められています。
その背景には
日本国内の飼料穀物はそのほとんどを輸入に依存している状況下にある一方、食品製造業、食品流通業、外食産業等からは食品製造副産物、余剰食品、調理加工残さ等が大量に廃棄され、その多くは焼却処理されていることが挙げられます。
これらの背景と地球環境問題や資源の有効活用の面から、食品残渣を飼料化していくことが求められているのです。
しかしながら、飼料化には次のような問題があります。
食品残渣飼料はその原料となる食品残渣の水分含有量が多く、常温では腐敗や臭気の発生等の危惧があるため、様々な
技術によって脱水し飼料化が取り組まれているのですが、それが高コストとなりその上保管、輸送にもコストがかかることから結果的に焼却処理されているのが実情です。
② 肥料化
次に食品残渣の処理として肥料化が考えられます。
肥料化にもさまざまな問題があります。まず食品残渣(豆皮)を肥料にするまで時間がかかることです。そしてその間臭気の発生が起こります。したがって肥料になるまで保管しておく広い土地と臭気の発生が問題とならないよう周りに住宅がないことが必要となります。そしてそのような施設の場合、輸送コストが高くつくのが現状です。
よって①, ②とも下のような関係になっており、結果焼却処理されることが多くなります。
食品残渣の脱水にかかるコスト、保管コスト、輸送コスト-食品残渣から得られる利益 > 焼却コスト
このような状況から残念ながら ③ を選択するところもあります。
弊社でも、以前は飼料化、肥料化を時期に応じて実行しましたが、保存や輸送にコストがかさむことから焼却処理していることが大半でした。
しかし現在は幸いにも、食品残渣(豆皮)は脱水後、キノコの菌床栽培(きんしょうさいばい)を行っている食品会社が菌床用に全量引き取っています。したがって食品残渣は現在は発生していません。
菌床栽培(きんしょうさいばい)とは、菌床(オガクズなどの木質基材に米糠などの栄養源を混ぜた人工の培地)でキノコを栽培する方法です。
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脱水処理し菌床として使われる豆皮
⑤については今のところ夢物語です。
つまり現状は事業所の近くに飼料化、肥料化に適した飼育場、農場がない限り焼却処理されていきます。あるいは豆皮を磨り潰してあんに混ぜられています。
私としては、エコ好きの’あほな’政治家が「あんこは、つぶあんしか作らせない!」という法律を作らないことを願うばかりです。半分は冗談ですが、経験ではなく歴史から判断するのであれば、人類は「禁酒法」や「生類憐みの令」という悪法を生んできたわけですから。
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Posted by 安儀製餡所 at 19:00
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